今日は、八千代句会がありました。句会後、バーベキューをする予定でしたが、諸事情により見合わせました。ベランダで、瓢箪のおばけランタンだけが灯っていました。
爽やかや深く潮さす厳島 かおる
蛍火や草叢暗く瀬の白く 児玉和子
蛍狩浴衣に結ぶ扱き帯
その奥に奥に木立や飛ぶ蛍 藤永貴之
蛍見やきのふと同じ橋に倚り 本井 英
戻り来て静かにをりぬ蛍の夜 田島照子
火ふたつとなりし蛍も消えて闇 山内裕子
季題は「蕗の薹」。春先にいち早く土中から顔を出す「蕗の薹」は誰からも愛されるが、特に俳人には人気が高い。必ずしも沢山収穫できなくても、それなりに香を楽しみながら食べることができるのも、喜ばれる理由の一つであろうか。さて一句は、その「蕗の薹」を摘みながらの作者の呟き。作者の住まいの近くに、毎年必ず萌え出て、作者が摘むのを楽しみにしている「蕗の薹」があるのであろう。去年も、この時期此処へ摘みに来た、一昨年も、一昨昨年も。ここに「蕗の薹」を摘みに来ることが作者の早春の楽しみの一つになっているのである。そしてふと「いつまで自分はここで蕗の薹を摘むことができるのであろうか」という思いが頭を掠めたのであろう。来年はまあ大丈夫であろう、再来年も何とかなる。しかし十年後となると自信はない。でもその十年後もおそらくこの「蕗の薹」はここに、同じように「生い出ている」ことであろう。そんな思いを心に抱きながら、作者は「蕗の薹」を摘み続けているのである。(本井英)
亡き後も生ふらむ蕗の薹摘める 伊藤八千代
月細く残りて梅に明けゆけり
枝折戸の古りしままなる濃紅梅
誰を待つともなく蕗の薹炊きて
寒明の宿直室の古畳 児玉和子
杉の葉の混じりゐたりし雪礫 櫻井茂之
恋猫のうつそりと来て蹲る 山内裕子
濁点を打ちたき声や恋の猫 磯田和子