課題句(2018年6月号)

「網戸」     前北かおる選

網戸より山の冷気の自づから			町田良
潮風と潮騒入るる網戸かな

戸を寄せて川風網戸より入るる			木下典子
三線(サンシン)の音の聞こえ来る網戸かな	冨田いづみ
遠ざかり色の薄まる網戸かな			梅岡礼子
灯を消して網戸の風をほしいまま		常松ひろし

課題句(2018年5月号)

「筍」         小沢藪柑子 選

親竹のそばをはなれず筍おふ		田中金太郎
円錐の頭もたげて筍おふ
竹の子の未来断ちたる鍬の先		山口照男
京筍紙に包(クル)まれ籠に入り	中島富美子
筍そこここ呉羽山縦走路		本井 英
筍や社宅ぐらしの三十年		田中温子

課題句(2018年4月号)

「蝌蚪」        辻  梓渕
                                                        
日向側日影側にも蝌蚪の紐		小沢藪柑子
おのがじし影をなしつつ蛙の子 
蛙子の尾をまつすぐに休み居り		藤永貴之
蝌蚪の尾の抗ふ流れありにけり		山内裕子
我が影に阿鼻叫喚や蝌蚪の群れ		永田泰三
ちろちろと影の忙しき蝌蚪の水		前田なな

課題句(2018年3月号)

「山笑ふ」	磯田知己 選

通学路母と確め山笑ふ		園部光代
ランドセル妹も背負うて山笑ふ

地辷りの地膚あらはに山笑ふ		藤永貴之
山笑ふ朽ちゆくものの匂ひ秘め		山内裕子
吊橋を渡れば山も笑ひくれ		本井 英
ひよいと出て鈍行に乗る山笑ふ		馬場紘二

課題句(2018年2月号)

「絵踏」          小野こゆき 選

我ならば絵踏すると云ふシスター	浅野幸枝
踏絵板展示ケースに黒ずめる
踏絵見し思ひのほかに小さくて		岩本桂子
主のお姿摩耗し給ふ絵踏板		村田うさぎ
絵踏思ひつ長崎の雨の坂		津田祥子
絵踏の世在りしと十字切る女		辻 梓渕