主宰:第零句集発刊の辞(2011年7月号)

「夏潮」ではこのたび若手作家による「夏潮 第零句集シリーズ」を刊行することとしました。これは「夏潮」会員の中でも、特に五十歳以下の方々に声をおかけしたものです。   そもそも私が俳誌「夏潮」を立ち上げた大きな目的の一つに、将来を託せる花鳥諷詠作家を育て、応援することがありました。その私の夢に応えて「夏潮」には多くの若手が集まり、研鑽に励んでいる現状は夏潮雑詠欄を御覧になり、新年会・稽古会に御参加になれば一目瞭然です。「夏潮」はベテランと若手が見事に融合し、互いに刺激し合っている貴重な俳誌でもあるわけです。

その若手達にとって「句集」という形で力量を世に問う日も遠くはありませんし、早くも何人かは「第一句集」を刊行して俳壇の評価を得ていることも事実です。しかし多くの若手にとってはさまざまな差し支えもあって、刊行に踏み切れない現状があるようです。

そこで「夏潮」では、「第一句集」刊行の前段階としての「ミニ句集」の刊行をお手伝いして、「第一句集」への弾みをつけて行きたいと考えました。

具体的には左記の如くです。

若手俳人諸君のこれまでの成果「百句」を新書版程度の簡単な冊子に収録する。 一期十人、句集十冊を本年九月以降毎月一冊づつ刊行する。

(略)

若手らしい清新な句風は未熟な部分を残しながらも我々に「ある刺激」を与えてくれるものと確信しておりますし、何よりもわれわれ「夏潮」の俳句を次世代にバトンタッチする企画として応援いただければ幸甚に存じます。(略)

因みに第一期は以下の十人です。

9月… 藤永貴之    10月…  磯田和子   11月 …  永田泰三

12月… 町田優人    1月… 櫻井茂之    2月…  石本美穂

3月… 前北麻里子   4月… 川瀬しはす   5月…  青木百舌鳥

6月… 信野伸子

第五巻を迎えた「夏潮」が次のステップへと大きく踏み出す企画です。何卒、一人でも多くの誌友のご賛同を得て目的を達したく存じます。是非応援のほどお願い申し上げます。


各句集の紹介記事・関連記事一覧


「夏潮 第零句集シリーズ Vol.1」 藤永貴之『鍵』 


対象への密着と自己凝視―藤永貴之句集『鍵』を読む_涼野海音(「火星」・「晨」) 


「夏潮 第零句集シリーズ Vol.2」磯田和子『花火』 


磯田和子『花火』鑑賞 (稲垣秀俊) 


「夏潮 第零句集シリーズ Vol.3」 永田泰三『一歩』 


永田泰三『一歩』鑑賞(渡辺深雪) 


「夏潮 第零句集シリーズ Vol.4」町田優『いらっしゃい』 


「非凡なる把握」―町田優人句集『いらっしゃい』を読む_涼野海音(「火星」・「晨」) 


町田優第零句集『いらっしゃい』を読む_稲垣秀俊 


「夏潮 第零句集シリーズ Vol.5」 櫻井茂之『風ノ燕』 


櫻井茂之『風ノ燕』鑑賞_(渡辺深雪) 


「夏潮 第零句集シリーズ Vol.6」 石本美穂『ラウンドアバウト』 


『ラウンドアバウト』 石本美穂第零句集を読む (泰三) 


『ラウンドアバウト』を読んで(矢沢六平) 


「夏潮 第零句集シリーズ Vol.7」 前北麻里子『誕生日』 


『誕生日』を読んで(矢沢六平) 


前北麻里子第零句集『誕生日』鑑賞_渡辺深雪 


「夏潮 第零句集シリーズ Vol.8」 川瀬しはす『TKS』 


句集『TKS』を読んで~稲垣秀俊 


句集『TKS』を読んで_矢沢六平 


「夏潮 第零句集シリーズ Vol.9」 青木百舌鳥『鯛の鯛』~破壊力は収まってしまったのか?~ 


『鯛の鯛』を読んで_(矢沢六平) 


青木百舌鳥『鯛の鯛』鑑賞_渡辺深雪 


「夏潮 第零句集シリーズ Vol.10」 信野伸子『日焼け』~明るく~ 


信野伸子句集『日焼け』を読んで~稲垣秀俊 


第零句集『日焼け』を読んで         矢沢六平