「余寒」 町田 良 選 戦争を終はらせられぬ余寒かな 馬場紘二 浴槽で髭剃つてゐる余寒かな 余寒かな学童疎開祖母と居て 礒貝三枝子 就職と引越迫る余寒かな 前北かおる 塗椀を仕舞ふ土蔵の余寒かな 梅岡礼子 調律の響くホールの余寒かな 財前伸子
課題句(2025年2月号)
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「余寒」 町田 良 選 戦争を終はらせられぬ余寒かな 馬場紘二 浴槽で髭剃つてゐる余寒かな 余寒かな学童疎開祖母と居て 礒貝三枝子 就職と引越迫る余寒かな 前北かおる 塗椀を仕舞ふ土蔵の余寒かな 梅岡礼子 調律の響くホールの余寒かな 財前伸子
課題句「切山椒」 馬場紘二 選 肩上げのとれて嬉しき切山椒 児玉和子 切山椒入婿としてつつがなく もも色のが欲しいとねだり切山椒 山本道子 切山椒よき年になれと願ひて 小沢藪柑子 切山椒宝尽しの皿に乗せ 山口照男 切山椒三色(ミイロ)の揃ふめでたさよ 前田なな
課題句「極月」 藤永貴之 選 極月の防犯カメラただ黒く 小池みち 極月の楽譜に記す終了日 田中 香 極月のゴム印の磨り減つてをり 極月のヨットハーバーがらんとす 本井 英 極月の浜平らかに空澄める 町田 良 極月の家族総出の家業かな 友池仁暢
課題句「返り花」 小野こゆき選 返り花己れの色を保ちけり 清水吉代 返り花行き過ぐ人を振りむかせ 花びらの数不揃ひや帰り花 これほども咲いてつつじの返り花 河内玲子 ひらくより先に乾きて返り咲 前北かおる 午後の日の射しこんでゐる返り花 永田泰三 山里に午の日低し帰り花 足立心一
課題句「松手入」 磯田和子 選 松手入空の青さを引き寄する 清水 満 ボートより御苑の松の手入かな ためつすがめついまだ終らぬ松手入 児玉和子 掃くばかりの庭師見習ひ松手入 木代爽丘 唐崎や比叡澄みわたる松手入 足立心一 手入れ済みし松の大きく息をして 冨田いづみ