主宰・本井英の句評は、雑詠評「潮騒を聴きながら」でその一部を紹介していますが、句会における主宰の句評は、文章で読むとのはまた違った味わいがあり、時には俳句観が熱く語られることもあります。このシリーズでは、実際の句評をテープから起したものを紹介し、句会における主宰の生の声をお届けして参ります。
(管理人)
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第101回 (平成18年9月8日 席題 蚯蚓鳴く・女郎花)
秋祭跳ね玉ひでの鳥料理 これ、面白いのは江戸といったって、山王さんとか神田明神のような、都会都会したお祭と違って、実は江戸にも字があって、その字の秋祭が残っている、その感じが出ていると思いました。 …
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第100回 (平成18年9月8日 席題 蚯蚓鳴く・女郎花)
女郎花の中に滝への道しるべ これはさっき言った女郎花の咲きざまがよく出ています。大きいです。一メーター五十とか、そのくらいの高さになりますし、大きくなります。だから咲き交わす前は全面出ていた道しるべ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第99回 (平成18年9月8日 席題 蚯蚓鳴く・女郎花)
傘のごと葉をかざしをり葛の花 これはある意味で見立てです。葛の葉と葉の隙間から見えた。ちょうど葛の花が葉を傘のようにしてかざしているようにも見えた。ま、これは見立ての句なんですが、いやみはないですね…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第98回 (平成18年9月8日 席題 蚯蚓鳴く・女郎花)
新涼の小間に真白き芙蓉かな うーん、どう解釈するかしらね。この句、厳密にいえば「新涼」と「芙蓉」と季重ねですが、「新涼」がはるかに強い季題ですから、芙蓉は季題にならない。「新涼」が季題。その新涼の小…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第97回 (平成18年9月8日 席題 蚯蚓鳴く・女郎花)
にぎやかにはるか利尻の鰯雲 利尻・礼文という島がありまして、稚内から西にあるんですが、けっこう近く見えて、稚内飛行場に着くと、地続きかと思うんですが、サロベツ原野あたりから見ると、途中に海がある。と…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第96回 (平成18年7月14日 席題 ブーゲンビレア・西日)
食堂へブーゲンビレアの外廊下 私の個人的好みなんですが、中七が八になるというと、気持ちが落ち着かなくなる。ホテルなんでしょう。しかもホテルがビルみたいなのでなくて、平屋建てがずーっと繋がって、キャビン…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第95回 (平成18年7月14日 席題 ブーゲンビレア・西日)
石垣にブーゲンビレアタンゴ鳴る 石垣は石で組み上げた垣でしょうね。たとえば沖縄とか、台風のよくやって来る所では、日本でも石垣の塀があります。あるいは、八丈島あたりもそうですが…。台風がよくやってくる所…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第94回 (平成18年7月14日 席題 ブーゲンビレア・西日)
砂日傘どれも死海の青に向き 元の句、「砂日傘人みな死海の青に向き」。砂日傘が向いているというので、俳句なんですね。それを人が向いているというと、説明っぽくなってしまう。俳句はできるだけ、そういう時に『…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第93回 (平成18年7月14日 席題 ブーゲンビレア・西日)
女世帯百合に囲まれ住まひをる 作者がいないんで言ってもなんですが、「世帯」と「住まひをる」が重なっているのが、気になるところです。かと言って、「女世帯百合に囲まれをりにけり」では、漠然としているし、で…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第91回 (平成18年6月9日 席題 蝙蝠・籐椅子)
梅雨に入る糠床に塩ふりにけり いいですねー。梅雨に入るというある気分と、「だから」というよりも、「そうそう」と言いながら、ある時間ができて、糠床の整理をしたというところが、よく出ていると思います。 灯…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第90回 (平成18年6月9日 席題 蝙蝠・籐椅子)
墓前祭老鶯長く長く鳴き この「長く長く鳴き」というところに、作者の心がよく籠っていますね。どなたの墓前祭だかわからないけれども、「惜しいな。なんかひょっと出てきそうな気がする、あの方。」と思う時、老鶯…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第88回 (平成18年6月9日 席題 蝙蝠・籐椅子)
籐椅子を出して隅々拭きにけり その通りであります。この句のいいのは、その通りであって、感想が入っていないですね。事実だけをぽーんと言っているのが、ある骨法を得たと思うんですね。それが、拭いて疲れたとか…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第87回 (平成18年6月9日 席題 蝙蝠・籐椅子)
籐椅子にしばし海見て蘆花旧居 蘆花旧居というと、世田谷の蘆花公園にも蘆花の住んだ家がありますね。逗子にも蘆花旧居がありますが、「しばし海見て」というから、逗子の蘆花旧居の籐椅子があったんでしょう。そん…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第86回 (平成18年6月9日 席題 蝙蝠・籐椅子)
籐椅子の身体にそひてたはみけり これは素直な句ですね。席題でこうやって素直に作ることが大切です。席題に想を巡らすことが、上達法の大事な一つなんですね。その時に、なかなか想が巡らなかったら、今度は実物を…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第85回 (平成18年6月9日 席題 蝙蝠・籐椅子)
梅雨入りや水玉の傘新しく 初めてなんですよね(この作者の参加が)。本当に素直ですね。いかにも新しい傘を、自分でもいいし、それを持っている女の人をみて、「ああ、新しいのを持って。」最初の畳み皺しかないよ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第84回 (平成18年5月12日 席題 海亀・夏蕨)
一村の跡や芽立ちの葦の原 さあ、これ、むずかしいです。旧谷中村といったって、どこだかわかりません。 僕のこの句からの連想では、ダムになってしまった村を感じますね。つまりダムが埋め立てられて、水底に村が…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第83回 (平成18年5月12日 席題 海亀・夏蕨)
指先に蕗のあくつけ夕仕度 よき妻を見て、愛情に充ちて、お詠みになった句だろうと思います。たしかに蕗は扱っているうちに、あくが出てきて、指先に入ってしまう。よく詠めていると思います。 新緑や走り来る児の…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第82回 (平成18年5月12日 席題 海亀・夏蕨)
主なきを知らぬふりして咲く牡丹 何か不幸があって、その家の庭に主ないことを知らぬように、牡丹が咲いておった。そう言えば、生前ここの主は、牡丹を自慢してをったことよ。「知らぬふりして」まで言ってしまうと…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第81回 (平成18年5月12日 席題 海亀・夏蕨)
雨降りの空の向うに初夏ありて ひじょうに感覚的な句ですね。こういうの、いいと思いますね。なかなか初夏が来ない。待ち望んでいる初夏がなかなか来ない。今、雨が降っているんだけれども、その向こうにあるはずな…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第80回 (平成18年5月12日 席題 海亀・夏蕨)
無人駅降りる人なく昼蛙 優等生の句ですね。無駄がなくて俳句の内容と形が定量だという感じで、気持ちのいい、姿のいい句ですね。無人駅にふーっと行ったんでしょう。無人駅のあるような所だと、もしかすると単線で…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第79回 (平成18年4月4日 席題 残花・朝寝)
朝寝して潮の目見ゆる窓に立つ いいですね。伊豆とか、そういう所に旅なすったんでしょう。たっぷり寝て、寝足りて、窓辺へ寄ってみると、昨日は潮騒がしていたけれど、今朝はすっかり静かになって、沖の方の潮の色…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第78回 (平成18年4月4日 席題 残花・朝寝)
学帽の少し大きく風光る 「風光る」という季題が気持ちよく付いていると思います。新入生なんでしょう。最初から新入生の頭に合った帽子を被せる親はいません。必ず大きくなるのがわかっているから、本人がいやがら…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第77回 (平成18年4月4日 席題 残花・朝寝)
空青く会津の城の残花かな 延魚 下の句「空青くて」。「て」は要らないと思いますね。真っ青な空に会津の城が見えていて、その周辺に残花があった。と言われてみると、会津という地名の持っている戊辰以来の我…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第76回 (平成18年4月4日 席題 残花・朝寝)
喧嘩して口はへの字の入学児 もちろん大学とは申しません。小学校の子ですね。早くも喧嘩してしまって、ウーンと言いながら、お母さんに駄目だと言われながら、式に出ている小学一年生。さあさあ幼稚園でも喧嘩早か…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第75回 (平成18年4月4日 席題 残花・朝寝)
逝く春を雨の音にぞ惜しみける これは堂々たる句ですね。これは「近江の人と惜しみけり」と肩を並べる惜春の句として、いいと思いますね。特に「雨の音にぞ惜しみける」という係り結びが、実に美しい、あるリズム感…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第74回 (平成18年4月4日 席題 残花・朝寝)
コーヒーの香りてきたる朝寝かな 席題の句というのは、果敢に挑戦していただきたいと思いますね。席題の題詠と嘱目とは、ちょうど両輪なんですね。題詠と言うのは、自分の中で一度濾過された記憶が凝縮してきますか…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第73回 (平成18年3月10日 席題 梅一切・涅槃)
春の土ほっこらと芽を包みをる 「ほっこら」というのがいいですね。擬態語、擬声語というのは、手擦れてくると、つまらなくなってくる。「ほっこら」は、春の土らしい感じがあって、うまいな。「芽を包む」というこ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第71回 (平成18年3月10日 席題 梅一切・涅槃)
蜆汁温め直す雨もよひ いいですね。どう鑑賞してもいい。雨が降っているので、出掛けないで、お酒などつけてもらっている。どんどん雨が募ってくる。ご飯を食べようかなという頃には、汁が冷めてしまっている。ちょ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第70回 (平成18年3月10日 席題 梅一切・涅槃)
白き鉢にねぎの青々田螺和 これも説明の話に照合しますね。元の句、「白き鉢ねぎ青々と田螺和」。これは散文です。特に「ねぎ青々と」の「と」がいかにも散文なんですね。それよりは、「ねぎの青々」の方がずっと諷…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第69回 (平成18年3月10日 席題 梅一切・涅槃)
日脚伸ぶ仕事帰りの空の色 仕事帰りに空の色が見えるようなお勤めというのは、割にいいお勤めです。最近は働かされてばかりいるから、空の色はなくなって帰る。そういうご職業だということは羨ましい限りです。「日…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第68回 (平成18年2月10日 席題 実朝忌・片栗の花)
極小に芽生えいろいろ春隣 元の句、「ごく小さき芽生えいろいろ春隣」。季題は「春隣」で、冬の季題です。「芽生え」とか、「もの芽」とか、「ものの芽」、「名草の芽」とか、芽に関する春の季題はたくさんございま…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第67回 (平成18年2月10日 席題 実朝忌・片栗の花)
何事か叫ぶが如く樹氷群 樹氷というのは蔵王が一番日本では代表的かと思いますが、志賀高原の横手山でも、樹氷は「モンスター」とも言います。何とも言えない奇怪な形になって、それを見ると、「何事か叫ぶが如く」…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第66回 (平成18年2月10日 席題 実朝忌・片栗の花)
この坂をくだり終へれば梅林 この句は何でもなく詠みながら、自ずから付近のロケーションが見えてくる。ちょっとした丘がかった所に道があって、そこから谷底の所が梅林になっている。そのなぞえの辺りに梅があって…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第65回 (平成18年2月10日 席題 実朝忌・片栗の花)
誘眠剤半分のんで雪を見る 夜、うまく眠れなくて、誘眠剤を飲むんだけれど、いつもは一錠飲むんだけれども、なんか眠れそうな気がして、半分だけ飲んだ。雨が何時の間にか雪に変わっている。戸をちょっと開けてみて…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第64回 (平成18年2月10日 席題 実朝忌・片栗の花)
面着けて小鬼元気や豆を撒く 元の句、「面着けて小鬼元気に豆を打つ」。鬼は豆を撒かれる方だから、原句だと意味がわからない。子供が鬼の面をつけて鬼の役をやって、大人が豆を撒いているというのが、場面としては…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第63回 (平成18年1月13日 席題 竜の玉・寒釣)
お迎へや日脚伸びたる保育園 これは採るか採らないか、悩んだ句なんですけれど。最近の世相からすると「お迎へや」というのが切実で…。最近のお母さんは人生をかけて、お迎えに行ってるという感じがする。でも、「…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第62回 (平成18年1月13日 席題 竜の玉・寒釣)
探しもの手伝ふことも去年今年 これもいいですね。誰か年末の最後の時に、鍵かなんか探している。あなた、なんか落ち着かないわね。もう除夜の鐘が鳴っている。なんの、なんのと言って探している。という、なんか同…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第61回 (平成18年1月13日 席題 竜の玉・寒釣)
寒鴉胸膨らませそこに居り 「そこに居り」がいいですね。「をりにけり」でも句にはなるんですけれども、「そこに居り」だと、ずいぶんと近いところにいた。人間同士、あるいは人間と動物の間にある距離があって、そ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第60回 (平成18年1月13日 席題 竜の玉・寒釣)
江の島の見え白波の三日かな 「三日」という季題が面白いですね。「三日」と言われると、もしかするとお元日は穏やかな日だったんだけど、少し風が荒れてとか、そんなことが想像できて面白いと思います。 醍醐寺に…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第59回 (平成18年1月13日 席題 竜の玉・寒釣)
かつて此処に津田塾ありき初句会 元の句、「かつて此処津田塾ありき」。勿論、字数から言えば、原句のようでいいんだけれど、「かつて此処に」と字余りにすることで、その場所への思い入れが、そして、普通、ことば…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第58回 (平成18年1月13日 席題 竜の玉・寒釣)
立ち並ぶビルの谷間に竜の玉 この句、いい句ですね。ビルを建てますと、かならず高さに比例して、まわりの土地を公共の為にしないといけないというのがあるようで、高いビルほど、まわりが広々としておりますね。そ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第57回 (平成18年1月13日 席題 竜の玉・寒釣)
戯れに竜の玉なるイヤリング 竜の玉を、もしかしたら初めて見た人かもしれません。人に教えられて、竜の玉の美しさにすっかり感動して、その二つ採ったのを耳にあてがって、戯れている。という女の人の緊張のない、…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第56回 (平成17年12月9日 席題 火事・枯茨)
白菜を積み上げてある美容院 元の句、「漬物用白菜積みて美容院」。これは説明ですね。勿論、銀座、青山の美容院の脇に、白菜を積んであるわけはないんで、どこか田舎の「美容室 XX子」といった美容室なんだけれ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第55回 (平成17年12月9日 席題 火事・枯茨)
類焼をまぬがれし家ひそとあり 「ひそとあり」がいいですね。類焼を免れたんだから、よかったんだけれども、隣近所が燃えてしまって、その家だけ燃えていない。ご近所付き合いもなくなってしまって、燃えなかったん…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第54回 (平成17年12月9日 席題 火事・枯茨)
枝はなれて落葉が土に触れる音 こういう句は、俳句の一つのやり方ですね。実際に音がかさっとしたかどうかは別で、主観の中では、枝を離れてその葉っぱが地に落ちた時に、かさっと音が聞こえたような気がした。もっ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第53回 (平成17年12月9日 席題 火事・枯茨)
富士を見つ小春の海をたのしめり これは若干主観的な句ですが、どこか湘南あたりの、あるいは房州でも見えるんですけれども、そんな小春の海を静かだなあと思って、見ている。そして、富士が見えていて、喜んでいる…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第52回 (平成17年12月9日 席題 火事・枯茨)
枯茨鋭き棘と真赤な実 題詠の時の作り方というのは、ともかくも素直に自分の記憶の中にある、そのものを思い出して、そのディテールというんですか。できるだけ思い出して作っていくというのが、大切ですね。その作…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第51回 (平成17年11月11日 席題 八手の花・鷲)
厳然と住持の墓所や木の実降る これはなかなかうまく行っているお寺ですね。住持のお墓がかっちりあるというのは、経営がうまくいっている。古くからの裏山も売らずにあって、木の実降るというのもいいと思います…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第50回 (平成17年11月11日 席題 八手の花・鷲)
見つめればこれも花なり花八手 こういう作り方があるんですね。これも花なりと言われてみれば、そうかなと。この句のいいところは、「これも花なり花八手」の花の音の繰り返しに、ある気分がある。と思われました…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第49回 (平成17年11月11日 席題 八手の花・鷲)
冬紅葉仙石原の美術館 これも若干皮肉なんですね。又、美術館が出来てるようだよ。という、最近の日本の風潮というものに、それほど賛成してるわけでもないという感じ。それを、冬紅葉が語っているかなという感じ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第48回 (平成17年11月11日 席題 八手の花・鷲)
初冬の御慶事近き重警備 これは一つの挨拶の句。あるいは時の句ですね。こういうのがあっていいと思いますね。あんまり写生写生といって、眼前の句を、客観写生だけすればいいんだと言っていると、俳句が痩せてく…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第47回 (平成17年11月11日 席題 八手の花・鷲)
一面の銀杏落葉の海の中 「海の中」がいいですね。つまり暗喩なんですね。如しと言わないで、銀杏落葉の海だと言い切ってしまっている。そこに力強さがあって、どこまでも明るい。僕は銀杏落葉は舞台のフットライ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第46回 (平成17年11月11日 席題 八手の花・鷲)
蕾とて苞とて無骨八手かな この句のいいところか、わるいところか、わからない。下五の「八手かな」の置き方がまことに不思議なリズムなんで、よいところと言えばそこかもしれないし、瑕と言えば、瑕かもしれない…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第45回 (平成17年11月11日 席題 八手の花・鷲)
花八手故宮の奥へ続く道 一目、北京の句だろうということですが、なるほど、石をずーっと敷き固めたような所での、あちこちに前栽のような植え込みがある。その一つに花八手があった。「故宮の奥へ続く道」というこ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第44回 (平成17年10月7日 席題 案山子・秋の声)
神おわす峰へ歩一歩秋の風 神おわす山はどこでもいいんです。神の山と言われる山はたくさんありますけれど、そんな頂上にはお社があるような、そんな峰に向かって、かみしめるように一歩一歩登っていった。その自…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第43回 (平成17年10月7日 席題 案山子・秋の声)
明月や人の影ある窓一つ いいですね。わざわざ明るい月と書いて、「明月」。名のある月というと、いかにも十五夜ということにこだわっ た言い回しになりますが、明るい月というと、十五夜でなくてもいい。十三夜…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第42回 (平成17年10月7日 席題 案山子・秋の声)
遠目にも畦赤々と曼珠沙華 いいですね。もぐらとか防ぐために、若干毒素のある曼珠沙華をわざと畦に植えるということがあるようです。それが功を奏して、畦全体が赤々と見えている。というのも、あの赤は曼珠沙華…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第41回 (平成17年10月7日 席題 案山子・秋の声)
鳴き初めてすぐに止みけり秋の蝉 季題は「秋の蝉」。具体的には法師蝉などが多いんだけれども、油蝉などが残っていることがあります。秋の蝉というと、『哀れな』とか「可哀想な」「命が短い」とかいう連想があ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第40回 (平成17年9月9日 席題 狗尾草・夕月夜)
迎火にかがむ父の背頼りなく 父の背中が迎火に屈みこんでいるのを見て、「ああ、お父さんも年を召されたなあ。」と思って、ある感慨にふけっている娘、あるいは息子の句です。元の句が「苧がら焚くかがむ父の背頼り…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第39回 (平成17年9月9日 席題 狗尾草・夕月夜)
もろこしのひげを尾にして瓜の牛 「瓜の牛」って、つまり精霊様が乗ってくるものだと、すぐわかるんだけれど、元の句が、「もろこしのひげを尾にした瓜の牛」。いいんだけれど、若干口語的。やっぱり、「もろこしの…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第38回 (平成17年9月9日 席題 狗尾草・夕月夜)
狗尾草撫でて吾が家の恋しくなる 字余りを自在にお使いになるところはお上手になられたなと。「狗尾草撫でて吾が家の恋しさよ」でも、一句になりますね。その方が字余りにはならない。「(前略)恋しくなる」という…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第37回 (平成17年9月9日 席題 狗尾草・夕月夜)
石積みし舟曵く船や夕月夜 「夕月夜」という題を出してみて、みなさんがあまり夕月夜というのを、気になさらずに暮らしていられるんで、むずかしい題でしたね。今日は葉月五日で、五日月がかかっているんですね。…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第36回 (平成17年7月8日 席題 川床・金魚)
ひと仕事終えて金魚を眺めけり これ、面白いですね。室内で仕事をしている方なんでしょう。コンピューターでもいいし、ものを書いてもいいし、なんでもいいですよ。ふっと疲れた目を、今、金魚にやって眺めながら、…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第35回 (平成17年7月8日 席題 川床・金魚)
切符買ひはや旅心梅雨晴間 「はや旅心梅雨晴間」というリズム感は、僕なんかが作らないリズム感ですが、晴子先生にこういうのがありましたね。不思議なリズム感。これも俳句なんでしょうね。自分が作れないリズム感…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第34回 (平成17年7月8日 席題 川床・金魚)
明日咲かむ桔梗の蕾ふくらみて これもいいですね。「明日咲くだろうよ。」「咲かむ」で、終止形で切れるんではなくて、この「む」は連体形の「む」で、明日咲くであろうところの桔梗、それが一本一本ふくらんでいる…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第33回 (平成17年7月8日 席題 川床・金魚)
消えかけて又濃くなりし朝の虹 外に賛同者がいなくって、ちょっと平凡にお感じになったんだと思いますが、夕虹と朝虹の違いがよく出てますね。大体、虹が出るのは夕方が多い。夕方の方が空を見てる人が多いというこ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第32回 (平成17年7月8日 席題 川床・金魚)
先立っての一言 今日は全体的に理屈っぽい句が多かったですね。理屈っぽいというより、こう言わんとしてますから、誤解のなきように。というメッセージが入っている句がありました。それは、損ですね。俳句の時はね…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第31回 (平成17年6月10日 席題 苺・虎が雨)
まだ小さき鮎焼けてゆく雨の宵 元の句、「まだ小さき鮎焼かれをり」。なんか鮎が火炙りになってしまうようで、かわいそうで、『焼かれをり』は残酷ですね。もちろん、強火の遠火で、串にさして、炭火を囲むようにあ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第30回 (平成17年6月10日 席題 苺・虎が雨)
虎が雨墨絵のごとく松の影 さっきのインターネットが(広重 大磯宿 虎が雨の版画)、そのまま句になるようで、たいしたもんですね。「松の影」という言い方が、おぼめかしてあって、いいですね。Shadow で…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第29回 (平成17年6月10日 席題 苺・虎が雨)
一呼吸又一呼吸蛍の火 重ね方がひじょうにうまいと思いましたね。弱い光で呼ぶように点滅するのは、雌蛍なんですね。それに対して、飛んで行く蛍は全部雄蛍。大体、夕方七時と、夜十一時と、朝方の三時頃、大体一晩…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第28回 (平成17年6月10日 席題 苺・虎が雨)
大川に纜(ともづな)垂らし虎が雨 大川という川は世の中にいくらでもあるわけですが、黙って大川と言えば、隅田川の部分称、隅田川の河口付近を大川というのが、普通の鑑賞でしょうね。ともづなというのは、艫(と…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第27回 (平成17年6月10日 席題 苺・虎が雨)
ひと巡りしたれば閉ぢて未草 之は巧みな句で、俳句のことがよくわかってますね。どっか公園みたいな所で池があって、睡蓮が咲いてたんですね。バラ園があるからって、ぐるっと回ってきた。また入口の池の睡蓮の所に…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第26回 (平成17年6月10日 席題 苺・虎が雨)
十薬の雨を待ってる線路際 これはいろんな言い方があって、「雨を待ってる」というのは、ちょっと口語的で、「十薬の雨待ってゐる」とか、どちらもそれなりの主張があるんですが、外の言い方もあるということを、一…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第25回 (平成17年5月13日 席題 蛞蝓・橡の花)
街路灯にかぶさるように栃の花 元の句、「街路灯かぶさるように」。これも、「街路灯に」と字余りにした方がいいんでしょうね。街路灯がかぶさっているのか、栃の花がかぶさっているのか、わからない。字余りにして…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第24回 (平成17年5月13日 席題 蛞蝓・橡の花)
朴咲いて白馬村なる日和かな 元の句、「白馬の村の日和かな」。『白馬の村』というと、『白馬の騎士』みたいになってしまって、あるいは、白い馬がたくさんいる村みたいになってしまいますね。白馬の村はちょっと無…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第23回 (平成17年5月13日 席題 蛞蝓・橡の花)
なめくぢの通りし跡か光りをり 元の句、「通りし跡や」。『跡か』がいいでしょうね。「や」にすると、切れ字みたいになってしまう。切れ字の「や」にしてしまうと、『跡だー。』と言っておいて、「それが光っている…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第22回 (平成17年5月13日 席題 蛞蝓・橡の花)
蛞蝓(なめくじら)ビルの五階の植木にも さ、ビルの五階がどんな所なのか、五階建て、八階建てのマンション、どういう所でもいいんだけれど、そういうマンションの立派なテラスに、植木がある。あ、ここのお宅も五…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第21回 (平成17年5月13日 席題 蛞蝓・橡の花)
伐採の青葉の香り道包む 季題は「青葉」ですね。伐採は間伐でもいいんですが、何かのことで、青葉の茂っているのを伐ることになった。チェーンソーの音がして、道の辺りに、葉がついたまま枝が盛り上がっている。そ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第20回 (平成17年4月8日 席題 花一切・虚子忌)
五月晴よく続きたりクラス会 この句の季題は『五月晴』で、鑑賞するときは、今から二月後くらいの気候を鑑賞します。「五月晴」はさつきの晴れ間。さつきというのは、さみだれの月。「さ」は神様のこと。「さつき」…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第19回 (平成17年4月8日 席題 花一切・虚子忌)
星空を覆ひつくして桜咲く 実景というよりも、理想的な一つの形を頭の中で描いて、ひじょうによろしき日本画を見るような、気持ち良さがありますね。つまりリアリズムだけではなくて、本来なら星空が向こうにあるは…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第18回 (平成17年4月8日 席題 花一切・虚子忌)
文鳥の餌の分だけはこべ摘む どなたかが「やさしい」と言ってらっしゃいましたが、本当にそうだと思いますね。文鳥の食べる餌なんて、しれていると思いますが、それでも散歩しながらも文鳥を、あるいは犬を猫を、あ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第17回 (平成17年4月8日 席題 花一切・虚子忌)
椿餅薄紅色に虚子忌かな 虚子の戒名が「虚子庵高吟椿寿居士」、お年をとって、椿が好きだったということです。そこで椿餅と言われると、なるほど虚子忌にふさわしいなという感じがしなくもありません。ちなみに私が…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第16回 (平成17年4月8日 席題 花一切・虚子忌)
包丁の音ひそやかに虚子忌かな さあ、何だって虚子忌はついてしまうんだけれど…。この句の解釈は、どこかの家庭で小さな句会があると。いつもは句会が終わると、皆解散して、じゃあさよならというんだけれど、今日…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第15回 (平成17年4月8日 席題 花一切・虚子忌)
伸びをしてもう一仕事暮遅し 季題は「暮遅し」。「遅日」とも言うし、「日永」とも言いますが。根を詰めて仕事をしていた。「ああー。」と背伸びをして、「今日はこれで止めておこうかな。」と思ったけれど、まだま…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第14回 (平成17年4月8日 席題 花一切・虚子忌)
咲き満ちて風花ほどの落花かな ちょっとことばがもたもたしているんで、景が結びにくいんですね。もしかすると、「咲き満ちて」が言い過ぎているのかもしれません。ただ、落花が花吹雪のように散るのではなく、ほん…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第13回 (平成17年3月11日 席題 御水取(お松明)・アスパラガス)
地蟲出て相も変らず人愚か 虚子先生みたいな句ですね。「蛇穴を出てみれば周の天下なり」という「五百句」にでてくる句がありますが、あれと同じ境地でしょうね。年々歳々、毎年毎年、地蟲は出て来ては、半年以上地…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第12回 (平成17年3月11日 席題 御水取(お松明)・アスパラガス)
指ほどのアスパラガスの青さかな これはうまい句で、アスパラがちょうどぽっと出た瞬間を詠み取った句だと思うんですが、元の句の「拇指」と書いて、「ゆび」という、実際には出た瞬間はもっと細い。だから普通の字…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第11回 (平成17年3月11日 席題 御水取(お松明)・アスパラガス)
蕗のとう包みてくるる指の荒れ いわゆる生産者市場でも構わないし、もっと農家そのものでもいいんだけれど、「蕗の薹、持って帰んなよ。」と言って、新聞紙にざくざくっと、二、三十個包んでくれた。その音が、がさ…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第10回 (平成17年2月18日 席題 梅・余寒)
解体のビルの大穴冬の晴 この句、すごく面白かったですね。どこかちょっとしたビルから隣の解体のビルを見たら、囲っている下が異様に空いていて、はは、そのことなんだということに気がついた。常識とか先入観をと…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第9回 (平成17年2月18日 席題 梅・余寒)
梅林の海に落ち込む海の色 「海に落ち込む海の色」というこのレフレインがちょっと面白いです。海の色は勿論青々としているのだろうと思われます。 裏道を辿るすなはち梅辿る 「すなはち」というところなどは、な…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第8回 (平成17年2月18日 席題 梅・余寒)
くぐり戸の扉だけ新し梅日和 元句の字使い、「戸だけ新し」。くぐり戸の「戸」はこれでいいですが、次の「と」は「扉」と書いた方がよくわかる。そうすると、景がよくわかる。しもた屋みたいなもののくぐり戸でもい…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第7回 (平成17年2月18日 席題 梅・余寒)
ろうそくを立ててかまくら完成す たしか去年の今頃、「かまくら」という席題で、皆さん作って、僕もかまくらの句で遊ばせていただいた記憶があるんですが、この句はこの句でよく出来てますね。しかも昔ながらに子供…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第6回 (平成17年2月18日 席題 梅・余寒)
靴揃へ脱ぎあり山の梅の茶屋 ちょっとごたごたしている。「山の梅の茶屋」のリズムがよくないんですけれど。梅見と花見の違いを、まずしっかり認識することで、梅見というのは花見より約一月早い分だけ、どこか寒々…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第5回 (平成16年12月10日 席題 鰤・紙漉)
漉く紙に紅葉黄葉と散らしけり 元の句、「紅葉黄葉を散らしけり」。これでは理屈。「を」では、紅い葉も黄色い葉も、どちらも「もみぢ」ということに興じすぎている。「紅葉黄葉と」だと、「赤いの入れたから、もう…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第4回 (平成16年12月10日 席題 鰤・紙漉)
大漁の鰤丸々と肥えてをり これも、まっとうな写生の仕方で、こういう句からどんどん想を練っていかれると、その時の鰤はこうであったということが、段々発展していくんだと思います。 漆黒の闇鰤起…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第3回 (平成16年12月10日 席題 鰤・紙漉)
黒マフラー跨ぎ人過ぐ銀座かな この句、面白い句ですね。「マフラー」が季題です。高田風人子という作者に、「マフラーや銀座新宿人違う」という句があります。まあ、それは昭和二十年代の銀座と新宿の違いでしょう…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第2回 (平成16年12月10日 席題 鰤・紙漉)
立派なる御門の内に大根売る これ、面白い句ですね。村の小さな歴史がこの中にあるように思います。きっと大きなお百姓さんだったのが、その一部を工場に売ったとか、高速道路に売ったとか、あぶく銭が入って、門を…
花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第1回 (平成16年12月10日 席題 鰤・紙漉)
淋しきはビルの谷間の枯木立 勿論、季題は枯木立なんですが、枯木立というと、今流行りのことばで言うと里山とか、そういう所の木々。それがすっかり枯れて、十幹とか二十幹とか並んでいるという感じがするんですけ…