雑詠」カテゴリーアーカイブ

雑詠(2024年5月号)

本土より四国山地や初明り		梅岡礼子
初明り島うすうすと浮かみくる
庭ごとに柚子のたわわや旧街道
冬菜畑母屋と納屋に挟まれて

弥撒終へし神父囲みて御慶述ぶ		原田淳子
縦に引く箒清しや五月場所		山口照男
鰹節のかをりがずつと南風の町		藤永貴之
ふるさとの橋の上なる御慶かな		田中 香

雑詠(2024年3月号)

冬ぬくし博物館にキッチンカー		遠藤真智子
十一月の日射し鯨のモニュメント
薄暗きみあかし二灯神の留守
曇天の薄日に傾ぐ石蕗の花

栗を煮る夫ありし日のやうに煮る	牧野伴枝
すつくりと枯れし姿も男郎花		渡邉美保
焼藷にある重心のごときもの		田中 香
瓢の笛音階なさぬ音ばかり		山内繭彦

雑詠(2024年1月号)

妻逝きて物音しない夜長かな		田中金太郎
芒野や疾く過ぎゆける雲の影
金太郎飴も売られて菊まつり
ビルの灯の上にしづかにけふの月

遊園地消えてどりこの坂の秋		釜田眞吾
病む人に夜は長しよ茶立虫		山内裕子
水澄むや夢に終はりし一人旅		牧原 秋
くつきりとキレツト切処見ゆる秋の晴	武居玲子