金髪に染めし子をりてお年玉 町田 良 鶺鴒の尾のとんとんと御慶かな ドバイより戻りしも来て新年会 骨折の女正月とは不運なる 今は昔仕事始の晴著かな 天明さえ 雲水の百の踝風かをる 山口照男 初電話掛ける頃合ひ見計らひ 山内裕子 ゆらゆらとやがて溢れし初日かな 釜田眞吾
雑詠(2025年5月号)
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金髪に染めし子をりてお年玉 町田 良 鶺鴒の尾のとんとんと御慶かな ドバイより戻りしも来て新年会 骨折の女正月とは不運なる 今は昔仕事始の晴著かな 天明さえ 雲水の百の踝風かをる 山口照男 初電話掛ける頃合ひ見計らひ 山内裕子 ゆらゆらとやがて溢れし初日かな 釜田眞吾
冬ざれて森もつと深かつたはず 小沢藪柑子 黒板のランチメニューに雪降れる 悪口や燗酒さめてしまふまで 年忘辞めるとかいや辞めろとか 豹柄の財布取り出し日記買ふ 福引の小さな運がふと嬉し 矢沢六平 人の輪を出れば風花舞ひにけり 青木百舌鳥 この島は奥の奥迄蜜柑山 岡部健二 風花となりて再び青空へ天野明雀
亡夫のジャケツ着て居心地良かりけり 小山久米子 穭田や植田のやうに生え揃ひ 物言はぬ口に一匙鶏雑炊 今日よりは一人と思ふ冬の朝 冬麗の空へユーカリ伸び上がる 児玉和子 夫けふは競馬へ勤労感謝の日 冨田いづみ 手の届く所に「い・ろ・は・す」と蜜柑 磯田知己 接木してからしのやうな薬かな 前北かおる
初鶏にパッと点りし一戸かな 藤永貴之 星や惜し霜や惜し年明けそむる 山裾と山裾のあひ初茜 霜の野にさしわたりたる初日かな 皂角子の莢を伝ひて雨雫 山内裕子 長き夜や目藥六本チェスの如 礒貝三枝子 木犀の葉軸を守るやうに咲き 宇佐美美紀 寒鰤のつける醬油を弾きけり 山口照男
思ひ出す紫菀の咲けば泊雲忌 長浜好子 芒剪る今宵の月に捧げんと 桔梗や若く逝きにし友の墓 鬼灯を手にして昔話して ひもじさや芋虫が身を捩りたる 稲垣秀俊 震災忌橋にそれぞれ名前ある 小沢藪柑子 濠の水に揉まれ春日のくらげなす 山本道子 副賞は新米といふ句会かな 山内繭彦