雑詠」カテゴリーアーカイブ

雑詠(2025年8月号)

夢の中で起きて働く朝寝かな		浅野幸枝
庭干しの運動靴に花の塵
とめどなく水琴窟へ花の雨
白シャツを干して叩いて風光る

法名で呼びかけてみる朧かな		村田うさぎ
山火事の手前の山の桜かな		根岸美紀子
句碑に小さく「万」と一文字暮の春	児玉和子
バス通り沿ひに見返り柳かな		冨田いづみ

雑詠(2025年7月号)

モノレール枯木の中を辷り出す		大山みち子
囀や長き参道ゆつくりと
とりどりのスワンボートに春兆す
武家門の日あたるところ福寿草

衰ひの車返しの大桜 		児玉和子
春風や池のここより川はじまる		青木百舌鳥
四面体の中に透けたる雛あられ		田中 香
春泥をヨ避けし足跡たどりけり		原 昇平

雑詠(2025年6月号)

湿り気の残る大気や梅香る		山内裕子
うとうととしてゐる背中春隣
穏やかに晴れ梅白し空青し
若布刈舟四人がかりで引き上ぐる

取り込みし干し物温し日脚伸ぶ		都築 華
登園もあと幾日よいぬふぐり		原 三佳
漂へる遠き野焼の匂ひかな 		塩川孝治
春水のさらさらさらと御料地を		梅岡礼子