雑詠」カテゴリーアーカイブ

雑詠(2022年6月号)

薫風や鉋の背より鉋屑		山口照男
糸蜻蛉息をころすと言ふことも
シャープペン押して引つ込め梅雨深し
梅雨の森大聖堂のごと静か

又夜が来て薄氷を張つてゆく		北村武子
住職は炬燵に死亡届置く		藤野 澪
ある晴れた日に流氷が遠くから		小沢藪柑子
恢恢と土に影あり春隣		青木百舌鳥

雑詠(2022年4月号)

おでん屋にゐるかと見ればをりにけり		児玉和子
白湯吞んで老いにけらしな年送る
一病が二病となりて年の行く
大寺の 欄 (オバシマ)に倚り年惜む
街師走舟和にあんこ玉買うて

風待の花筏とぞ申すべき			藤永貴之
雪まみれの犬のごとくに気動車来		稲垣秀俊
年行くや今日一日と生きてきて			山内裕子
何もかものつぺらぼうに年流る			天明さえ

雑詠(2022年2月号)

敗荷の鉢の並びぬ坂の道		藤田千秋
雲間より日の差しくれば鶸の鳴き
穴まどひ蛇籠の上に身を曝し
曳船の音遠ざかる秋の暮

葉のあをと檸檬のあをと分かたざる	信野伸子
地震一つありし朝の麦を踏む		山口照男
四万過ぎた頃から林檎赤くなり		稲垣秀俊
夕日さす赫奕(カクヤク)として柘榴かな	武居玲子