梅雨烏かあ北一輝顕彰碑 田中温子 剝落の仁王の像や梅雨深し 青胡桃やうやく雨の上がりさう 蛇の目と五十センチの間合ひなる 帰省して小中高と連れ回し 矢沢六平 夏空も分かち大陸分水嶺 今井舞々 畳みたるごと噴水の落ちにけり 田中 香 岩かどにかくれあらはれ三十三才 藤永貴之
雑詠(2024年11月号)
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梅雨烏かあ北一輝顕彰碑 田中温子 剝落の仁王の像や梅雨深し 青胡桃やうやく雨の上がりさう 蛇の目と五十センチの間合ひなる 帰省して小中高と連れ回し 矢沢六平 夏空も分かち大陸分水嶺 今井舞々 畳みたるごと噴水の落ちにけり 田中 香 岩かどにかくれあらはれ三十三才 藤永貴之
しばらくは掃くこと勿れ沙羅の花 根岸美紀子 緑蔭の玉川上水橋いくつ 花楝花殻なるも実となるも 雨上り紫陽花日和とはなりぬ 職人の声が屋根より五月晴 前田なな 建具屋の御道具棚の金魚かな 足立心一 花びらの豊かに薄し寒牡丹 山本道子 無花果のひそかに太り梅雨深し 町田 良
近づいてゆくうれしさに桐の花 田中 香 花桐をマイクロバスで潜りけり 高原へカーブ幾つも桐の花 桐の花高しダム湖に映らざる 月皓々花烏瓜また皓々 常松ひろし 忽然と屋根より高く夏の蝶 松島盛夫 銅門常盤木門と城若葉 飯田美恵子 沢風にあさぎまだらの浮き憩ふ 藤永貴之
花筏淵に身動きとれぬまま 北村武子 手の平に大きく開き落椿 湿原の一隅を占め諸葛菜 全身であゆみ初む児に風光る 中の島へ小舟を遣りて緑摘む 柳沢木菟 春日傘片手に母を支へつつ 梅岡礼子 爪立ちて女踊は腰高く 信野伸子 春惜みながら麓へ下る径 小沢藪柑子
たんぽぽの丈の低さも浜の宿 山内裕子 温室に雨の音聞く椄木かな 生徒の名つけて椄木の鉢並び 一日を草に座りて諸子釣 春泥につなぎたる手を離しけり 飯田美恵子 ギプスより出づる指先春寒し 田中幸子 街路樹の根に捨ててある花氷 藤永貴之 通りますと軽トラ通る春の泥 山口禎子