月別アーカイブ: 2013年2月

首筋に風やはらかく秋の海 淳子 (泰三)

 夏潮の新年会楽しかったですね。また皆様にお会いできる日を楽しみにしています。

 季題は、秋の海。夏の潮風だったら、ねっとりとまとわりついてくるもので、決して「やはらかく」とは感じない。夏場のように人々が海に出ている訳でもなく、浜辺にも人はまばらなのだろう。

 秋の海辺では、落ち着いてゆっくりと海を眺めることが出来る。着ている服も夏とは違い露出は、首筋だけが露出している。そこに風を受け、「やはらかく」感じた。

 

 

花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第64回 (平成18年2月10日 席題 実朝忌・片栗の花)

面着けて小鬼元気や豆を撒く
元の句、「面着けて小鬼元気に豆を打つ」。鬼は豆を撒かれる方だから、原句だと意味がわからない。子供が鬼の面をつけて鬼の役をやって、大人が豆を撒いているというのが、場面としては真っ当でしょうね。徒然草などに出てくるのは、宮中ではちゃんとした役人が駆けずり廻って逃げる。今は知りませんが…。豆は打つでなく、撒くですね。
公魚のきらめく腹をひと撫です
元の句、「ひと撫でし」。これだと、ちょっと軽いですね。「す」と終止形で抑えた方が、重みがきちっとすると思いますね。釣れたばっかりの公魚を、穴釣りでも、ボート釣りでもいいんですが、ちょっと手でもって、腹のあたりを撫でてみた。というと、いかにも小さな小さな公魚の、そのまた哀れな腹の様子が見えてきて、いいなと思いますね。
着ぶくれて三人掛けに二人居り
これは何の三人掛けだかよくわからないんだけれど、例えば電車のような所だとすると、三人掛けになるような広さの所なんだけれど、着膨れた人が真ん丸になって、二人掛けでちょうどいい感じがした。それをマナーとして責めてるわけでなく、ちょうどぴったりなくらいね。という感じ。足も短くて、床につくかつかないかみたいな、おばさんみたいな人を感じますね。
地に落ちてすぐ消える雪実朝忌
「雪」と「実朝忌」と、季重ねになっていますけれど、毎回言うように、特異性の強い季題が入っていると、そちらが強い。時期、時間限定性が強いのもそれです。実朝忌は、何日と決まっていますから、雪と出てきても、雪は弱い。従って、実朝忌の句として、なんら困ることがない。こういう作り方は季重ねがこわくない作り方ですね。
交りたる蛙動かぬ池の底
蛙って、本当に不思議なんで、蛙が交っている時って、気持ちの悪いように、何十匹何百匹交りながら、一方で産みながらという凄い状態がある。これは交っている蛙が動かないでいるというんだけれども、それが一塊でなくて、相手を変えながら凄い場面なんです。そのある一瞬を、凄い場面なのを、淡々と詠んだという面白さがありますね。俳句の一つの面白さですね。

花鳥諷詠ドリル ‐主宰の句評‐ 第63回 (平成18年1月13日 席題 竜の玉・寒釣)

お迎へや日脚伸びたる保育園
これは採るか採らないか、悩んだ句なんですけれど。最近の世相からすると「お迎へや」というのが切実で…。最近のお母さんは人生をかけて、お迎えに行ってるという感じがする。でも、「日脚伸ぶ」の感じも出ているなと思いました。日脚伸ぶということで、小さいジャングルジムとか、そういうものが目に浮かぶ。
寒釣の竿先動くけはひなし
この句、面白い句ですね。ぽつねんとして、釣っている人。後ろから見ているのが、作者です。動く気配もない。釣れないね、これは。と思っている。
紅白を背中で聞いてごまめ炒る
ごまめを炒るタイミングは、大変むずかしい。ことに蜜を入れるタイミングがむずかしいんだそうですが…。そっちに夢中になっているんだけれど、一方、好きな歌手もいて、その番になったら聴こうと思っているんだけれど、まだなっていないようだから、テレビには背中を向けたままで、ごまめを炒っているという、大晦日の一場面だと思います。
師に推され友に誘はれ初句会
ああ、転校生の句ですね。初句会というのは、お正月最初の句会で、その句会に初めて来ることを初句会とは言わないんだけれど、たまたま初句会だから、是非来てごらんと自分の先生も言ってくれているし、友達もいらっしゃい、いらっしゃいと言ってくれたんで、面映い気持ちで、初句会に参加した。という、そんな感じがあって、お土産の一句として、気がきいているなと思いました。
竜の玉土うっすらと濡らす雨
元の句、「竜の玉土うっすらと濡るる雨」。「濡るる雨」というと、何を言いたいか、わからない。「濡らす雨」なんでしょうね。これはこれで一句なんですよ。想像句でいくと、土が濡れたのもいいし、石でもいいですね。「竜の玉石うっすらと濡らす雨」とすると、竜の玉のある場所が見える。土だと、濡れたか濡れないかは、なかなか判断がむずかしい。石だと、うっすら濡れているというのが、はっきりわかる。どうせ想像句なら、土より石の方が竜の玉らしい。竜の玉の季節、石の冷たさが出る。そんな気がいたしました。