季題は、「虫」で秋。秋の夜に聞こえてくる、虫たちの声である。涼しい中、聞こえてくる声は美しく。いつまでも聞いていたいものである。
さてこの句。理屈で言えば、音波である。しかし、この句は、虫の音が、大波や小波が寄せ来る音のようにあたかも虫の音が聞こえた様を、感じたとおりを句にしたのだろう。なるほど言われてみたら、たくさんの虫が一斉になく「大波」もあれば、少ない虫が声を合わせている「小波」もある。
季題は、「虫」で秋。秋の夜に聞こえてくる、虫たちの声である。涼しい中、聞こえてくる声は美しく。いつまでも聞いていたいものである。
さてこの句。理屈で言えば、音波である。しかし、この句は、虫の音が、大波や小波が寄せ来る音のようにあたかも虫の音が聞こえた様を、感じたとおりを句にしたのだろう。なるほど言われてみたら、たくさんの虫が一斉になく「大波」もあれば、少ない虫が声を合わせている「小波」もある。
季題は「梨」。一昔前は長十郎、二十世紀などという品種が幅を利かせていたが、近年では「幸水」、「豊水」などという名を耳にする。いずれも大きく、甘く、水分たっぷりという方向に改良されているもののようである。
さて掲出句は梨を食った後の「皿」を写生している。真っ白な皿に、よく見ると「梨の水」が少々残って見えるというのである。おおよそ梨は四つ割にして皮を剥いて、芯の部分を抉って「皿」に載せ、小型のフォークなどが添えられる。「皿」に残った「梨の水」は実際は「果汁」であるのだが、透明で「水」と見えるのだ。それが「真白なる皿」に少量残っている。いかにも「ありそうな」、「普通の」景として面白い。無論、その梨が迸るような「果汁」を包み込んでいたことも想像される。(本井英)
「探梅」 櫻井茂之 選 探梅やちらつく雪を仰ぎもし 藤永 貴之 餅食うて茶屋に長居や探梅行 探梅や展けて海の見えて来し 津田 伊紀子 立ち止まるたびに静かや梅探る 梅岡 礼子 探梅のあてどは次の角の先 小沢 藪柑子 入院は明日と決まりて梅探る 本井 英
真白なる皿に残りし梨の水 原 昇平 眺むれば眺むるたびの秋の空 貰ひたる見舞ひの梨を剥ひて呉れ ありの実の皮のざらりとしてをりぬ がちくと運べるビールジョッキかな 永田泰三 肩にゐる子どもとも鷽替へにけり 藤永貴之 夜長かな妻は写真の整理して 原 昌平 窓持たぬ路上生活冬ざるる 前北かおる
「セーター」 前田 なな選 セーターと莨の匂ひ帰り来し 櫻井茂之 抱きくるゝセーターのちくちくしたる 安堵するためのセーター引つ被る 告白はセーターのこの編目あたりで 梅岡礼子 たつぷりと着るセーターに安らげる 山内裕子 お揃ひのカウチンセーターデッキへと 田中温子 セーターを編むも不得手で六十路かな 柳沢晶子