課題句」カテゴリーアーカイブ

課題句(2022年9月号)

課題句「雨月」       井上 基 選

姨捨の闇の深さや月の雨		岩本桂子
新聞記者参加したるに雨月かな
歌舞伎座のはねて銀座の月の雨		町田 良
不祥事の始末をけふも月の雨		杉原祐之
棋譜並べ探る敗因雨の月		木代爽丘
漆黒や湖の雨月に目をこらし		本井 英

課題句(2022年8月号)

課題句「溝萩」    髙橋庸夫 選

溝萩の咲くや帰郷のままならず		前田なな  
飛び〳〵の溝萩明り母訪はな

父母偲びつつ溝萩を手折りたる		江本由紀子
暮れてゆく田に溝萩の色残る		藤田千秋
溝萩の赤紫の揺れ通し		児玉和子
溝萩のこぼれ湧水奔る町		近藤作子

課題句(2022年7月号)

課題句「ハンカチ」 今井舞々 選

差し出せるハンカチーフを借りまどふ	岩本桂子
ハンカチや恋の手段の一番手		田口松柏
ハンカチを差し出す男受く女		根岸美紀子
ハンカチをそつと差し出す人のゐて	岡部健二
さりげなく出すハンカチの所作に惚れ	園部光代

課題句(2022年6月号)

課題句「河骨」        武居玲子 選

河骨や何か跳ねたる水の音		山内裕子
沼舟の波河骨に消えゆけり 
河骨の葉のつやつやとして開花		小沢藪柑子 
河骨の黄の明るさに空も亦		原 三佳
河骨や水鏡にも力づよ		藤永貴之  
河骨の蕾こつんと黄を兆し		本井 英

課題句(2022年5月号)

課題句「虹鱒」	小沢藪柑子 選

渓水は虹鱒沢へわかれをり		藤永貴之
岩陰ゆ虹鱒釣の竿をのべ

山水を引いて虹鱒飼ふといふ		山内裕子
ヒラを打つときの虹鱒虹色に		本井 英
虹鱒や一トン放流せしと聞く		常松ひろし
虹鱒と美しき名を付けられて		根岸美紀子