投稿者「taizo」のアーカイブ

おしろいの雨に打たれるだけ打たれ 公子 (泰三)

  寒い朝でしたね。自転車通勤の私は、ぶつくさと文句を言いながらの通勤でした。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

  季題は、「おしろい」で「白粉の花」のこと。夏の花で、日中は閉じているが、夕暮れ時に花を開く。

 夕立であろう、激しい雨が降っている。その雨に白粉の花が打たれている。水仙のような冬の花が、「雨に打たれるだけ打たれ」ていたら、淋しくて、何ともやるせないのだが、この句は夏の元気な白粉の花の句である。打たれるだけ打たれてもちっともへこたれない、むしろ雨を喜んでいるかのようにも見える。

そして、「おしろいの雨に打たれてをりにけり」だとただの報告。「打たれるだけ打たれ」とすることによって、雨の激しさ、そして白粉の咲きざまが見事に表現されている。

 

花立てて先へ\/と葛の蔓 磯田和子 (泰三)

 あけましておめでとうございます。福岡に帰省して、ますます体重の増加に勢いが加わってしまった泰三です。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

 季題は、葛の花。秋の七草の一つ。虚子編新歳時記では、葛だけでも秋の季題である。葛の花は、葉っぱに埋もれていてあまり目にすることができないが、見つけると、この句にいわれているようにつんと立っている。この花を中心に、大きな葉っぱを茂らせながら、蔓の先は、どんどん四方へと伸びてゆく。この句は、上五でまず中心の花を見せ、最後の下五を蔓とまとめることによって、先へ先へと伸びてゆく葛の広がりがよく見える巧みな句である。葛のエネルギッシュな全体像が描かれている句である。

 

 

見習のちらりとタトゥー三尺寝 やすし (泰三)

帰省して、福岡の俳人と腹一杯句会ができて大満足の泰三です。皆さんは、いかがお過ごしですか。

季題は三尺寝で昼寝の傍題である。

虚子編歳時記には、「三尺寝は職人らが狭苦しい場所で午睡をすることをいふ」と解説される。 この句は、解説通り、狭いところに職人たちがひしめき合ってねむっている。 その中の一人の最も若い見習いらしいものの袖口からタトゥーがちらりと覗いている。昔ながらの龍や牡丹といったいかにも・・・と言ったものではなく、あくまでファッションとしてのタトゥーであろう。髪の毛も茶髪に違いないと勝手に想像した。

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向日葵のシャワーヘッドのごとく垂る 麻里子 (泰三)

    もう間もなくの冬休みが待ちどうしくて仕方が無い泰三です。皆様はいかがお過ごしでしょうか。

    季題は、向日葵。ぎらぎらとした太陽のもと、元気に咲いている夏を代表する花である。しかしこの句は、枯れかけて俯いている状態。その様がシャワーヘッドのようだと述べる。大きな向日葵なのであろう、背丈も人間がシャワーを浴びるにちょうど良い高さだ。そして何より、枯れかけのシワシワの花びらが水雫のようにも見える。 私は、外国のホテルなどのゴツゴツした不恰好なシャワーヘッドを思い浮かべた。 見たまま、感じたままを十七文字にまとめた、作者の屈託のない人柄が表れてる気持ちの良い句である。

笹原の中を木道秋の雨 伊紀子 (泰三)

夏潮の創刊の年に生まれた長女がもうすぐ5歳になることに驚きを隠せない泰三です。月日が経つのは早いですね。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

季題は、秋の雨。もちろん秋に降るあめのことである。さてこの句。笹原の中を木道が通っており、そこにしとしとと秋のつめたい雨が降っているという句である。街中に木道があるわけはなく、尾瀬や上高地といった自然豊かな場所であろう。季節がら紅葉を楽しみに来たのかもしれない。しかし、残念ながら天気は悪い。だがさすがは俳人。その雨をも楽しみ、一句に仕上げた。 もしこの句が、「笹原の中の木道」であったら唯の報告。「中を」としたことで、笹原の中を、そしてさらに笹原を抜けてはるかに続く木道の長さが見える。俳句は「てにをは」が決めてだと思わされた。