笹原の中を木道秋の雨 伊紀子 (泰三)

夏潮の創刊の年に生まれた長女がもうすぐ5歳になることに驚きを隠せない泰三です。月日が経つのは早いですね。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

季題は、秋の雨。もちろん秋に降るあめのことである。さてこの句。笹原の中を木道が通っており、そこにしとしとと秋のつめたい雨が降っているという句である。街中に木道があるわけはなく、尾瀬や上高地といった自然豊かな場所であろう。季節がら紅葉を楽しみに来たのかもしれない。しかし、残念ながら天気は悪い。だがさすがは俳人。その雨をも楽しみ、一句に仕上げた。 もしこの句が、「笹原の中の木道」であったら唯の報告。「中を」としたことで、笹原の中を、そしてさらに笹原を抜けてはるかに続く木道の長さが見える。俳句は「てにをは」が決めてだと思わされた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください