残りページ気にしつつ読む良夜かな 馬場紘二 浮き上がる一面の白蕎麦の花 クラシックホテルの庭の良夜かな お隣につい声掛ける良夜かな 天の川見に行くバスに乗り込める 飯田美恵子 背のファスナー開いたままに蟬の殻 小山久米子 故郷に妻子ある人鯊日和 矢沢六平 黒松に熊笹赤松に芒 天明さえ
雑詠(2021年1月号)
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残りページ気にしつつ読む良夜かな 馬場紘二 浮き上がる一面の白蕎麦の花 クラシックホテルの庭の良夜かな お隣につい声掛ける良夜かな 天の川見に行くバスに乗り込める 飯田美恵子 背のファスナー開いたままに蟬の殻 小山久米子 故郷に妻子ある人鯊日和 矢沢六平 黒松に熊笹赤松に芒 天明さえ
無実顔 本井 英
秋耕の一鍬ごとに土香り 岸釣の釣るれば妻の駆け寄れる おしろいは実を零したり萼残り 待ちまうけをれば尾花に風いたる 泥まみれなるものも朴落葉かな
女郎蜘蛛夫は無実顔にをり 客寄せのコスモス畑頃を過ぎ スルタンの宝珠のやうや藪茗荷 鵙はひかへめ画眉鳥聴こえよがしに トンネルの中ほど高し秋の風
浜砂に消ゆる小流れ暮の秋 街の秋潮路橋とは良き名もて 秋風に船首いかめしタグボート 万両五六亭々といふ姿にも 白マスク黒マスクはた顎マスク
煽つたび陽射し掬ひて芭蕉葉は 句碑そこに建つがたのしみ小鳥来る 緋毛氈の緋に新旧や秋日和 咲きつれて茶の花姸を競ふなく 茶の花や不平不満の蕊を吐き
課題句「著ぶくれ」 釜田眞吾 選 著ぶくれて大三角を指させる 冨田いづみ 著ぶくれといふしあはせに包まるる 著ぶくれのまゝに名刺を交はしけり 黒田冥柯 著ぶくれが一声掛けて立ちにけり 田尻くがを 著ぶくれてぎゆうぎゆう抱き合ふ別れ 梅岡礼子 さなきだに躓きやすし著ぶくれし 本井 英
遡る波を見てをり橋涼み 山内裕子 夕蟬の河原に潮の満ちて来る 溝萩や池の小島にそれらしく 新涼の風萩に吹き槇に吹き 雲の峰練習船が出航す 宮田公子 すこやかに青田となりぬケルネル田 児玉和子 墓洗ふ苗字の底に指を入れ 河村雅子 半夏生油膜広ごる船溜り 江本由紀子