残りページ気にしつつ読む良夜かな  馬場紘二

 季題は「良夜」。名月がくまなく照らす夜のこと。作者は今、読書中。読み始めはやや難渋しながら読んだ本が途中から興が乗って、どんどんページが進み、当初予想していた時間よりも早く読了しそうな様子を想像した。昼間から心設けしていたことだが、今宵は仲秋の名月。天気予報では晴れて全国的に「お月見日和」とのこと。いま読んでいる書物は、何処かで中断して夜はゆっくり「月見を」と考えていた作者だが、思わず読書のペースが上がり、この分では読み終えてから「月見」が出来そうに思えてきたのであろう。家人の話では「月」は、もう大分高く上がっているらしい。中断するか、読了するか、そんな気持ちで、ときどき「残りページ」を気にしている作者の姿が想像できた。作者が「轟亭の小人閑居日記」で有名な読書家であることを考え合わせると、いかにも静かで知的な時間が流れていることも感じられる。 (本井 英)

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