投稿者「管理人」のアーカイブ

画然と黄花白花すひかづ  藤永貴之(2014年6月号)

 季題は「すひかづら」、「忍冬の花」である。蔓性であちらこちらに纏わりつきながら、初夏、香りの高い純白の花を付ける。その純白の花が間もなく黄変して「金」とも見えるので、新しい花の「銀」と対応させて別名「金銀花」とも呼ぶのである。

 一句の詠んでいるのも、まさにそこで、「黄花」は黄色、「白花」は白とはっきり区別のつくことよ、とあらためて見入っているのである。一見、季題解説だけのようにみえながら、「画然と」と打ち出したところに季題に対する讃美の心が真っ直ぐに出ていて好感が持てる。  (本井 英)

雑詠(2014年6月号)

画然と黄花白花すひかづら		藤永貴之
代掻や野を貫ける泥の川
枇杷籠を負ひたるまゝに乗船す
忍冬の蘂の先まで黄ばみたる

雪嶺の一座ばかりに日の当たる		青木百舌鳥
売店の弁当買うて梅林へ		玉井恵美子
春雨のあがりし町に汽笛かな		梅岡礼子
一粒が唇に触れ春時雨		田中 香 

午後の日をしづかにとどめ寒牡丹   津田伊紀子(2014年5月号)

 季題は「寒牡丹」、本来初夏に咲く「牡丹」をさまざまに手を施して冬に咲くように仕立てたもの。冬場にはふさわしくない豪華さを喜ばれる一方、その痛々しさを感じる向きもある。手のかかることもあって個人の庭で楽しんでいる話は聞いたことがなく、筆者の印象では上野の山の東照宮、鎌倉の八幡宮あたりが思い浮かべられる。

 「冬牡丹園」は朝から開園、ひとしきり賑わって閉園時間も近い時刻であろうか、斜めからの緩やかな光線が「藁ぼっち」の中の「寒牡丹」に静かに当たっている。周りに客の姿はなく、作者と「寒牡丹」は語り合っているようにも見える。  (本井 英)

雑詠(2014年5月号)

午後の日をしづかにとどめ寒牡丹	津田伊紀子
大年の低き夕日に真向へり
寒牡丹玉の蕾を解きそむる
被せ藁を風のくぐりて寒牡丹
本堂の小脇にしたる寒の梅		青木百舌鳥
小さき瘤連ねて氷柱尖りゆく		山内裕子
行儀よく脚をそろへて蜂の飛ぶ		田中金太郎
母の日に筆談で書くありがとう		宮川幸雄