残暑のおかげで、まだまだビールを楽しんでいる泰三です。
「夏潮」9月号雑詠より。季題は「草笛」で夏。葉っぱや茎を口に押し当てて音を出して遊ぶものである。ちなみに我らが英主催は、草笛の名手であられ、吟行会では時々その腕前を披露してくださる。
さて、この句。草笛で白雲を二つ呼び寄せているという。もちろん、草笛にそんな力はない。実際は、雲が二つ空を流れている時に、草笛を吹いているだけである。しかし作者はそう感じた。遊び心である。時代劇などでは、大捕物の際、呼子笛が「ピー」と鳴って、「ご用だ」などと言いながら同心達がざわざわと集まってくるのであるが、この句は、草笛で雲を呼ぶという。世の中の喧噪を離れた、ほのぼのとした気持ちの良い景色だ。