校庭の桜吹雪や授業中 好子 (泰三)

「夏潮 8月号」雑詠欄より。

季題は桜で春。桜吹雪とは、桜の花びらがあたかも吹雪のように舞っているかのような様を言う。時代劇遠山の金さんの刺青でお馴染みであろう。

さて、この句。たいていどこの校庭にも桜は植わっており、「校庭の桜吹雪や」までは特に面白味は感じられない。しかし下五で「授業中」と時間が区切られたことで、一気に想像力を刺激される句となった。授業中であるならば、本来教室の中で行われている授業に集中するべきであろう。

しかし、この一人は、授業ではなく、校庭の桜吹雪が気になって仕方がない。教師ではなく、窓の外ばかり見ている。また授業中であるので、校庭には人影はない。だだ広い校庭を桜吹雪が吹き荒れている、そんな景色が目に浮かんだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください