御慶述ぶ 本井 英 生きてゐることを刻々初明り 着古してヒートテックや今朝の春 からうじて電気喉頭御慶述ぶ 虎御前に西行さんに御慶かな スマホごし老の御慶を高らかに 猿曳や茶髪ですこし悪さうで 林道のゲートを開き山始 凍鶴を遠くへだてて駐車場 凍鶴を一時照らす入日かな 枯るるもの同志巻きあひ摑みあひ
著ぶくれて膝だらしなく歩むかな 楷の木の由来謹読著ぶくれて 「仰高」の扁額ゆゆし園は枯れ 枯るる丘の裾をたどりて南武線 寒の日に枝よく光る梨畑 寒の晴明日は姉を見舞はむか 高校生溢るるホーム日脚伸ぶ 庵室に閉門時間日脚伸ぶ 待春の武蔵総社は北面す 川へだて投げ合ふ言葉春近み
(3)添字 干し上げて若布本博多二句