主宰近詠(2024年3月号)

御慶述ぶ  本井 英

生きてゐることを刻々初明り

着古してヒートテックや今朝の春

からうじて電気喉頭御慶述ぶ

虎御前(トラゴゼ)に西行さんに御慶かな

スマホごし老の御慶を高らかに

猿曳や茶髪ですこし悪さうで

林道のゲートを開き山始

凍鶴を遠くへだてて駐車場

凍鶴を一 時照らす入日かな

枯るるもの同志巻きあひ摑みあひ


著ぶくれて膝だらしなく歩むかな

楷の木の由来謹読著ぶくれて

「仰高」の扁額ゆゆし園は枯れ

枯るる丘の裾をたどりて南武線

寒の日に枝よく光る梨畑

寒の晴明日は姉を見舞はむか

高校生溢るるホーム日脚伸ぶ

庵室に閉門時間日脚伸ぶ

待春の武蔵総社は北面す

川へだて投げ合ふ言葉春近み
◯特殊標記 (1)ルビ 滴りや 山の心斯く (2)詞書

博多二句

(3)添字 干し上げて若布本 ありにけり or 一谷戸の奥の奥まで菖蒲園 or (4)長音等記号 〳〵 〴〵 〱 〲

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