屋根雪をスノーダンプで切る落とす 青木百舌鳥 逃げてゆく群たのもしや初雀 初雀梅に五大羽薔薇に二羽 書割のごとき磴へと初詣 小豆煮て小さき鏡をひらきたり 礒貝三枝子 ライオンの指先の如枇杷の花 原 昌平 役無しで和了れるルール三ケ日 矢沢六平 幾度も列の尾につき年用意 小野こゆき
雑詠(2021年5月号)
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屋根雪をスノーダンプで切る落とす 青木百舌鳥 逃げてゆく群たのもしや初雀 初雀梅に五大羽薔薇に二羽 書割のごとき磴へと初詣 小豆煮て小さき鏡をひらきたり 礒貝三枝子 ライオンの指先の如枇杷の花 原 昌平 役無しで和了れるルール三ケ日 矢沢六平 幾度も列の尾につき年用意 小野こゆき
戦火くぐり来し黐の木の蘖ゆる 村田うさぎ 蘖えて風禍の神の大銀杏 蘖ゆる柞にひらけ山の空 青木百舌鳥 アボカドの切れば切るほどひこばゆる 坂 廣子 大銀杏倒れ失せしに蘖える 本井 英 東京は銀杏の街ひこばえて 前北かおる
季題は「冬ざれ」。淋しげな冬景色である。田畑ではない冬の「荒地」を防砂林などを横目に辿って歩いて行くというと、いつの間にか荒々しい浜辺に出ていたというのである。湘南の海などを頭に描いていると、なかなか想像しがたい景であるが、地方へ行けばありふれた景色である。
「荒浜」にあるものは何年もの間に漂着した「汐木」やら、舟の部品やら、ペットボトルやら。その奥に広がる海原には冬浪が弾けて、風に飛沫が飛ばされている。しかしこの「荒浜」も春になれば、ほっとするような「季題」に満たされることにもなるのであろう。 (本井 英)
冬ざれの野は荒浜に続きけり 町田 良 山茶花の白の淨らに散りてなほ 浮寝鳥吹かれ溜れる船溜 密やかにけものの匂ひ山眠る 古井戸の底はちひさき枯野かな 武居玲子 川底のかたちのままに水涸れる 小沢藪柑子 我が町に二つの流れ冬霞 小川美津子 鶲来て声をかけたき近さかな 早稲田園
胴を輪切りに 本井 英
恵方とて島影ゆるぎなかりけり 柳箸二膳は淋しからざるや ことしより二病息災寝正月 土間隅は凍つてをりぬ嫁が君 灯して仏間ゆゆしや嫁が君
癪に障ることのかず〳〵嫁が君 ひくひくと鼻が可愛いや嫁が君 人日や胴を輪切りに診る検査 寒垢離へ裸電球たどりゆく 寒垢離の欅のやうな胴まはり
寒垢離の行著ひつたり貼りつける 寒垢離や一口焠ぐ志 寒垢離を済ませそれぞれ闇に消ゆ 峰寺のにぎはふとなく初薬師 祈ぎごとはもとよりひとつ初薬師
ヘリが吊るぐるぐる巻きの凍死体 凍死救ひし大犬の物語 乗り換へし膝に日射しや梅探る 老いぬれば指がぎしぎし梅探る 探梅の自分土産の柚餅子かな