投稿者「管理人」のアーカイブ

雑詠(2021年5月号)

屋根雪をスノーダンプで切る落とす	青木百舌鳥
逃げてゆく群たのもしや初雀
初雀梅に五大羽薔薇に二羽
書割のごとき磴へと初詣

小豆煮て小さき鏡をひらきたり		礒貝三枝子
ライオンの指先の如枇杷の花		原 昌平
役無しで和了れるルール三ケ日 	矢沢六平
幾度も列の尾につき年用意		小野こゆき

課題句(2021年4月号)

戦火くぐり来し黐の木の蘖ゆる		村田うさぎ
蘖えて風禍の神の大銀杏 
蘖ゆる柞にひらけ山の空		青木百舌鳥
アボカドの切れば切るほどひこばゆる	坂 廣子
大銀杏倒れ失せしに蘖える		本井 英
東京は銀杏の街ひこばえて		前北かおる

冬ざれの野は荒浜に続きけり    町田 良

 季題は「冬ざれ」。淋しげな冬景色である。田畑ではない冬の「荒地」を防砂林などを横目に辿って歩いて行くというと、いつの間にか荒々しい浜辺に出ていたというのである。湘南の海などを頭に描いていると、なかなか想像しがたい景であるが、地方へ行けばありふれた景色である。

 「荒浜」にあるものは何年もの間に漂着した「汐木」やら、舟の部品やら、ペットボトルやら。その奥に広がる海原には冬浪が弾けて、風に飛沫が飛ばされている。しかしこの「荒浜」も春になれば、ほっとするような「季題」に満たされることにもなるのであろう。 (本井 英)

雑詠(2021年4月号)

冬ざれの野は荒浜に続きけり		町田 良
山茶花の白の淨らに散りてなほ
浮寝鳥吹かれ溜れる船溜
密やかにけものの匂ひ山眠る
古井戸の底はちひさき枯野かな	武居玲子
川底のかたちのままに水涸れる	小沢藪柑子
我が町に二つの流れ冬霞		小川美津子
鶲来て声をかけたき近さかな		早稲田園

主宰近詠(2021年4月号)

胴を輪切りに 本井 英

恵方とて島影ゆるぎなかりけり

柳箸二膳は淋しからざるや

ことしより二病息災寝正月

土間隅は凍つてをりぬ嫁が君

灯して仏間ゆゆしや嫁が君



癪に障ることのかず〳〵嫁が君

ひくひくと鼻が可愛いや嫁が君

人日や胴を輪切りに診る検査

寒垢離へ裸電球たどりゆく

寒垢離の欅のやうな胴まはり



寒垢離の行著ひつたり貼りつける

寒垢離や一口(ヒトフリ)焠ぐ志

寒垢離を済ませそれぞれ闇に消ゆ

峰寺のにぎはふとなく初薬師

祈ぎごとはもとよりひとつ初薬師



ヘリが吊るぐるぐる巻きの凍死体

凍死救ひし大犬の物語

乗り換へし膝に日射しや梅探る

老いぬれば指がぎしぎし梅探る

探梅の自分土産の柚餅子かな