課題句「登山」 藤永貴之選 打ち捨てし木片の杖や登山口 岩本桂子 殿の遠くなりたる登山かな 見過ごしてしまひさうなる登山口 財前伸子 目を上げて空の近さよ登山道 町田 良 口結び雨のさ中の登山かな 前北かおる 街の灯と星のあはひに登山の夜 磯田和子
課題句(2015年7月号)
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課題句「登山」 藤永貴之選 打ち捨てし木片の杖や登山口 岩本桂子 殿の遠くなりたる登山かな 見過ごしてしまひさうなる登山口 財前伸子 目を上げて空の近さよ登山道 町田 良 口結び雨のさ中の登山かな 前北かおる 街の灯と星のあはひに登山の夜 磯田和子
虚子に〈小説に書く女より椿艶〉、〈造化又赤を好むや赤椿〉の句があり、特別に椿を好んでいたことが知られているが、確かにギョッとするほど人の眼を引く赤椿というものもある。虚子はそれを「小説中の女」に譬えてもみたわけである。そして掲出句で作者は「ただならぬ」とその「赤」を表現した。ところで「ただならぬ」だけでは、どう「ただならぬ」のか分からぬではないかという感想も当然出るであろう。「普通ではないのだ」と釈明しても始まらない。しかし永らく「椿」と付き合ってくると(すべからく俳人はさまざまの季題と永らく付き合ってきている)、「その赤さ」が、なんとなく想像できるようになってくる。「椿」とは、「椿姫」のヴィオレッタではないが、どこかにそういう「魔性」を秘めているのである。恐ろしく深みのある「赤さ」の椿の花が日面・日裏にみっしりと咲き連なっている景を、永らく「椿」と付き合ってきた俳人は目裏に描くことが出来るのである。作者はその辺りの呼吸を十分承知していて、こうした表現を試みたのである。 本井 英
ただならぬ赤さに椿咲き満てる 児玉和子 遣水のそのまま川へ落椿 古雛の仕丁泣き顔戯(オド)け顔 小流れのほとりに二輪草の叢 かなりの間待たされをれど春炬燵 馬場紘二 仕舞ひ湯の縁から見上ぐ春の星 木下典子 あたゝかや島に馴染みの店ありて 宮田公子 山吹の莟三角並びをる 栃澤峰子
ネクタイ締めぬ 本井 英
四月かなネクタイ締めぬ日々ながら 十薬の嫩葉スペードなせりけり 佇めばその香の充ちて楠若葉 身のうちに疼くものあり昭和の日 終点の浜のバス停春の宵
散り惜しみ散り惜しみ花冷ゆるかな 翡翠のくくと噦したりける 湯疲れの視線熊谷草に置き 艦載機の音が劈く大霞 標高をかせぎゆくほど峰桜
苞すでに白藤とこそ知られたれ 一輪草散りてからびて葉の上に 根元からも瘤からも蘖えにけり 人や知る青木の花の散り果てしを 浦島草テンカラ釣りの綸放る
蛇をると女三人連れ立ちて 貝母散り果て全体に黄ばみそめ 大枝垂葉桜となり遂せたる 酔ひ痴れるとは薔薇蘂を蜂が抱き 足早の小諸の春を惜しまばや
秋祭跳ね玉ひでの鳥料理これ、面白いのは江戸といったって、山王さんとか神田明神のような、都会都会したお祭と違って、実は江戸にも字があって、その字の秋祭が残っている、その感じが出ていると思いました。
濡れそぼちつゝへこたれず女郎花主観的な句をお作りになって、そうですか。黄色のあの明るさに「へこたれず」という気分がなるほどあるもんだなと思いました。
山荘の径秋蝶の通ふ径元の句、「山荘の小径秋蝶通ふ径」。掲句のようにすると、表現として整う。原句がどうしていけないかというと、「小径」と「径」とが照合しないんですよ。字を合わせる為に、「小径」と「径」にしたような印象もしてきて、それぐらいだったら掲句のようにすれば、リズムも合うし、西洋の詩にあるような脚韻の効果というのが出てきますね。日本語では脚韻の効果よりも頭韻の効果の方が強いんですが、この場合は脚韻の効果、ライムですね、が出てくると思います。
浅間山間近に在りて蕎麦の花こらは、「さいでございますか。」なんですけれど、蕎麦の花を見ていて、ぱっと見上げたら、浅間山がずいぶん近い。という感じがして、ある気分があると思う。
行く道を覆ひ尽して乱れ萩どういう所なんでしょうね。それは、たとえば鎌倉の萩寺、宝戒寺みたいな所で、乱れ萩をわざとほってある。それが一つのお寺のやり方みたいなんで、皆、それを分けて入ってください。といったような、覆い尽くしている。萩を分けて進むことの心地よさが、なんともいえない日本人の楽しみですね。
野分後庭一面の明るさよこれも素直でいいと思いますね。「庭一面の明るさよ」というのは、外に言いようがないな。野分後のばらばらばらばら桜の葉などが落ちたりして、妙に光りの通しがよくなってしまう、そんな野分後の気分が出ていると思います。
しばらくは一人暮しに蚯蚓鳴く「七年目の浮気」みたいな…。しばらくかみさんが里に行っていないんで、わるさでもしようかと思うんだけれど、なかなかそうもいかないんで、しょうがないなと思っていると、蚯蚓が鳴いたような鳴かないような。飲んで寝ちまえという感じがしてきて、健全な一人暮らしだろうと思いました。