「夏潮 第零句集シリーズ Vol.2」磯田和子『花火』

 「夏潮第零句集シリーズ」が始まった。第2号は磯田和子(わこ)さんが登場

 和子さんは、昭和三十六富山県生。洗足大学魚津短期大学時代に、講師として東京から通っていた本井英に師事。その後、平成四年から「惜春」入会、「夏潮」には創刊から参加されている。

 富山の句会では中心的な役割を果たして頂いており、今年の5月含めて毎年のように富山での吟行旅行を企画いただき、楽しい場を提供いただいている。

 磯田和子さんは柔らかな詩人である。その句の特徴は本井英が序で述べている通りである(主宰がこのシリーズの序文を書くのは余り良くないと個人的には思いますが。。。)。

鰺の眼の大きく浅く空を見る 和子

季題は「鰺」。課題句で私が選者した時の句。「大きく浅く」と言う表現に自然豊かな富山に暮らす磯田さんの個性を感じた。

 肩に力を入れない句風である為、平易な言葉遣いで詩をなされている。よって、一部では類型的な句、只事の報告の句も散見されるが、そこを乗越え、今後も「柔らかな心」と「冷静な写生の眼」で磯田さんの第一句集への歩みを楽しみにしていきたい。

その為にキーワードは富山の風土・風俗をもっと積極的に詠み込んで行った俳句を拝見したい。

 

『花火』抄 (杉原祐之選)

若葉風母となる日の近づきぬ

秋繭の籠れる部屋の薄明り

成人の日の立山と対峙せる

雪折れに芽吹く力のありにけり

燕にシャッター少し開けてあり

ふいに手を取られ祭の人込みに

ファインダーはみ出し割るゝ大花火

運ばれて来ては囃され夏料理

ボール未だ載せしまんまに大枯木

目の高さより落ちてくる下り簗

 

(杉原祐之 記)

関係ブログ

俳諧師前北かおる http://maekitakaoru.blog100.fc2.com/blog-entry-702.html

磯田和子『花火』鑑賞 (稲垣秀俊)

 


磯田和子さんにインタビューをしました。

Q1:100句の内、ご自分にとって渾身の一句

A1:「歓声のどんに鎮まり揚花火 和子」

渾身といえるかどうかわかりませんが、句集の題名にしました「花火」を詠んだうちの一句です。

 

Q2:100句まとめた後、次のステージへ向けての意気込み。

A2:今までの超スローペースを反省し、サクサクと句を作って行きたいと思います。

 

Q3:100句まとめた感想を一句で。

A3:秋天のクレーンの先の先に雲  和子

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