邸うちなる 本井英
風吹きて縦に伸びゆく鴨の陣 霜柱きらり暫くしてきらり 池普請の底ひぺらぺら氷るかな 雨の野の遠き白梅心ひく 雨流れはじめし梅の径かな
栄螺積む皿魴鮄が伏せる皿 ミモザの黄咲くとき重さなかりけり 五つ六つ雨に閉ざせる犬ふぐり 日ざしまだ高からねども犬ふぐり 荻野屋の釜飯の釜犬ふぐり
田水なほ冷たからんに義仲忌 神鶏の交るを追ひて禰宜若し 初午やとろりとろりと遠太鼓 初午の邸うちなる小賑はひ 初午に見かけて母の割烹着
初午の客やぱらりと下船せる 恋あはれ鞘当あはれ猫の声 牡丹の芽を育みし日の沈む 繊々と現れ旧正の二日月 春時雨情けはもつれやすと句碑