ぞつと真白き 本井英
海へだて恵方に嶺々のたたなはり とめどなき湯玉めでたし福沸 初みくじ背中合はせに読んでをり 招かれて女所帯や歌留多の夜 初釜の帯のお太鼓庭へ向き
枯葎へ鼬駆け込み駆け出づる 万両や膝の丈なる腰の丈なる 雪女のぞつと真白きちりけもと 出口からちよつと覗けて冬牡丹 反りあげてみよがしの尾や尾長鴨
枯芝の広さの贅を露台より 寒鯉の吐き出す水の縺れけり 西郷の犬は耳立て寒日和 匍うて人無きごとく海鼠舟 海鼠舟流るるとなく移りをり
翻り枝つかみしは尉鶲 白紋の雄はきつぱり尉鶲 春子はや頭こつりと春隣 五寸ほど落つる水音春隣 崖下に剪定を待つ梨畑