主宰近詠(2015年4月号)


ぞつと真白き    本井英

海へだて恵方に嶺々のたたなはり

とめどなき湯玉めでたし福沸

初みくじ背中合はせに読んでをり

招かれて女所帯や歌留多の夜

初釜の帯のお太鼓庭へ向き



枯葎へ鼬駆け込み駆け出づる

万両や膝の丈なる腰の丈なる

雪女のぞつと真白きちりけもと

出口からちよつと覗けて冬牡丹

反りあげてみよがしの尾や尾長鴨



枯芝の広さの贅を露台より

寒鯉の吐き出す水の縺れけり

西郷の犬は耳立て寒日和

匍うて人無きごとく海鼠舟

海鼠舟流るるとなく移りをり



翻り枝つかみしは尉鶲

白紋の雄はきつぱり尉鶲

春子はや頭こつりと春隣

五寸ほど落つる水音春隣

崖下に剪定を待つ梨畑