主宰近詠(2015年1月号)

  
はやしはやし   本井 英

見覚えの倒木もあり湿地採り

熊鈴を手で振ることも湿地採り

数珠玉や暗渠出てきて水笑ふ

数珠玉のまだ色づかぬ青二才

騎馬戦の騎馬組み上がり風わたる



シスターのスプーンレースはやしはやし

一湾にひつつれも無き秋の潮

部屋の日の届かぬ辺り紫苑立つ

日の紫苑雨の紫苑を愛すかな

秋晴も三時を過ぎて谷戸に風



秋晴の暮れたる闇のやはらかき

稲雀いまさら逃げていく一羽

穴まどひ逃げしもう一匹をりし

草の間をくちなはの斑の流れけり

山影のおよばんとする箒草



咲けるものなほありながら草紅葉

色変へぬ松龍鱗もほつれなく

秋声や文庫が谷戸と呼ぶはここ

鴨を見てをるやうで見てない漢

かしこみて仄暗がりに七五三