切られてんげり 本井 英
草蜉蝣髭撓みたり直りたり 草蜉蝣髭を綰ねてみせもする 甚平やそげてかなしき尻の肉 米山へ見ゆるかぎりの豊の秋 三つ巴の一頭離脱蝶の空
吻の黄のたのもしきかな大秋刀魚 秋刀魚掴めばくんなりと彎曲す 鉦叩明窓浄机とはゆかず 釣人の背に燃えてゐる曼珠沙華 曼珠沙華の白とは呼べど象牙色
菱提げてこれが実これが浮袋 いくたびも浮かべる湖面揚花火 石橋の大一枚を秋水に 鯉の尾が撃てば秋水動乱す やがて橋にかかる彼女や庭の秋
叶ふ石あれば坐しもし水の秋 村の道そこらの韮も実となりて 青鷺のひもじき素振りとてもなく 墓主は切られてんげり法師蟬 受け答へ礼儀正しく鯊を釣る