主宰近詠(2014年5月号)


まだ伸びる  本井 英

雪吊の心棒や結ひ継がれたる

除雪機の置かれ駅長室の前

行くほどに水鳥水へ泳ぎ出づ

六花似合ひて秀和レジデンス

墓経をうちかこみをり雪の傘



雪重ねゆく自動車の形かな

パオほどに雪捨ててあり駐車場

スプーンでこそげし小波雪衾

春節の紅灯いよよ濃かりける

春節の獅子伸び上がるまだ伸びる



春節の獅子脱げばまだあどけなや

雪かはきたる紅梅の疲れかな

雪折の杉くぐるとき匂ひけり

残雪のつまる茶畝のはざまかな

斑雪山下山してきてアスファルト



海の明るさ雪しろを招き入れ

トンネルを歩いて抜けて春寒し

夕映えのなきまま昏れて春寒し

コッフェルを置いて斜めや犬ふぐり

ふらここの漢屈託ありと見ゆ