剣玉と塗り絵と金魚外は雪 児玉和子(2013年5月号)

 季題は「雪」。「外は雪」というのであるから、室内を詠んでいるのである。その室内にある物は、「剣玉」と「塗り絵」と「金魚」。「金魚」は夏の季題とも成る言葉であるが、「外は雪」という状況に中では季題としては働かない。そして「剣玉」からは男の子が、「塗り絵」からは女の子が連想され、さらに「金魚」からは親御さんの姿も思い浮かべることができる。つまり「若い一家」が「外は雪」の状態に置かれているのである。勿論、庭へ出て「雪達磨」作ってもいいし、「雪合戦」をしてもいいのだが、それは一時のこと。しばらくすればまた、家の中に入って、ガラス越しに外を見ている。今どきの家庭だと、ここで「テレビ・ゲーム」に興じる子供の姿も見えてきそうだが、そんなものを子供に与えない見識のある親御さんもあろう。

 一句の中には名詞と助詞があるばかり、動詞、形容詞といった用言がないことが、全体をすっきりさせている。当然、その辺りの効果も考えての措辞である。 (本井 英)