主宰近詠(2024年10月号)

立子なつかし   本井 英

その伯母の墓参で出会ふばかりなる

バラストを棲処とさだめゑのこ草  

碑に飽いて秋の暑さの百花園

行き当たるけうげん塚や秋暑し

案の如く垂るる蛇瓜百花園

台風の自転車ほどの速度てふ

落命する人かならずや台風来

野に潜む獣らに台風来るぞ

台風を綽名で呼ぶは馴染めざる

なんとなく立子なつかし男郎花


寡黙なることをよろしと男郎花

蜉蝣のただやう高さ瀬を早み

蜉蝣の骸降り積み山の橋

千草分けゆく向かう臑こそばゆき

いきどほり千草を歩して静めけり

踏切の鐘もかろらか秋めける

渓底に一径のあり秋めける

衣被長女がやつてきて茹でし

衣被頭をちよんと刎ねてある

しらびその森霧雫とめどなや

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