主宰近詠(2024年9月号)

恢復期      本井 英

海開了へたる雨の海面かな

海の家「利休」とはまた古風な名

揃へ置くビーチサンダル浜砂に

高砂百合咲いて浜へと砂の道

突然に地響きめきて朝の蟬

熊蟬は押しつけがましからざるや

凌霄花紅の一塊咲きくらみ

凌霄の吹き上げてゐる遠き色

月見草溶岩(ラヴァ)で区画の別荘地

平らかに開ききつたり白芙蓉


めぐりきて(アシタ)の芙蓉酔芙蓉 

萱草の蕾みつんつん明日明後日

萱草の蕾人肌色呈す

萱草の蕾の角も色深み

萱草の同じ高さに競ひ咲き

癇癪玉めくよ百日紅の蕾

見届けて碧緑濃ゆき金鈴子

七月の朝日金鈴子の肩に

青鷺のつつぱつてゐる膝小僧

暑中見舞読み返しては恢復期

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