恢復期 本井 英 海開了へたる雨の海面かな 海の家「利休」とはまた古風な名 揃へ置くビーチサンダル浜砂に 高砂百合咲いて浜へと砂の道 突然に地響きめきて朝の蟬 熊蟬は押しつけがましからざるや 凌霄花紅の一塊咲きくらみ 凌霄の吹き上げてゐる遠き色 月見草溶岩で区画の別荘地 平らかに開ききつたり白芙蓉
めぐりきて朝の芙蓉酔芙蓉 萱草の蕾みつんつん明日明後日 萱草の蕾人肌色呈す 萱草の蕾の角も色深み 萱草の同じ高さに競ひ咲き 癇癪玉めくよ百日紅の蕾 見届けて碧緑濃ゆき金鈴子 七月の朝日金鈴子の肩に 青鷺のつつぱつてゐる膝小僧 暑中見舞読み返しては恢復期