主宰近詠(2016年11月)


太りひつつき 本井 英

こもろ・日盛俳句祭


虚子庵に回さずにある扇風機

清潔に古りゆく畳庵涼し

汗の玉太りひつつき流れたり

黒揚羽蜜を吸ふ間も翅ゆすり

本家長塀分家長塀日の盛り



色白は七難かくす水著かな

炎天を一目散の雀蜂

蜩や村を離るる森の道

蜩の響動す広さすべて寺領

養鱒池通年十度澄み渡り



虹鱒の虹美しや水も澄み

おひろひの帰りは近し夏蕨

蟬声も谿狭まればいよよ濃く

草刈機唸りチャリンと音こぼし

凌霄花残んの(アケ)をふりしぼり



ほのと顕つ獣の匂い藪茗荷

岸釣の浮子の小さきが玄人めき

合鴨の翼が育ち稲が熟れ

ここの空にまだ用のある秋燕

千屈菜のその色ながら尽れそむ