病ひあるか 本井 英
その白のいとけなきかな菱の花 三日目の四日目の紅蓮の花 蘆原をこまかく移り行々子 恋みくじ子供みくじも宮の夏 白南風に槙垣高き安房の町
夏暖簾分けながらはや笑まひをり どぜう鍋年かさらしく振る舞ひて 土用芽のひとつ許さずご本山 オープン・キャンパス緑蔭もまたよろし オープン・キャンパス学食も冷房で
朝虹やライフ・ガードがはや浜に フラダンス・ショー再開や虹も立ち 茶畑に刺さつてをりぬ虹の脚 虹の脚あたりの屋並み虹に染まり 嵌めこまれ蟬の眉間にルビーめき
山梔子の実の真緑のよそよそし にいにい蟬抑揚なきが疎ましや 牛蛙忘れてくれなとも聞こゆ 無患子の青き実落つは病ひあるか 指すこし沈む完熟トマトかな