主宰近詠(2016年4月)


とらやは重し       本井 英

鳥影の流るる障子福茶汲む

食積や駅伝テレビ点いたまま

初夢の妻には言はぬ部分かな

初夢の中で死体となつてをる

救急車とすれちがひたり福詣



来宮の駅が真下や寒見舞

手に提げてとらやは重し寒見舞

寒鯉の睦むともなく争はず

煮凝がごはんで溶けてゆく香り

干蒲団叩くや音は遅れ着き



娘の暮らし訪へば葉牡丹植ゑてをる

馬印のごとくにアロエ咲きわたり

池普請腰の深さを往き来して

池水のとことん濁り池普請

先週の雪まだ残り枕ほど



鉤の手に折れてつぎつぎ冬座敷

岬宮に位階とてあり冬椿

朝の日に覗き込まれて寒椿

裸婦像の尻の美し春を待つ

まだといふ言葉たのもし春を待つ