とらやは重し 本井 英
鳥影の流るる障子福茶汲む 食積や駅伝テレビ点いたまま 初夢の妻には言はぬ部分かな 初夢の中で死体となつてをる 救急車とすれちがひたり福詣
来宮の駅が真下や寒見舞 手に提げてとらやは重し寒見舞 寒鯉の睦むともなく争はず 煮凝がごはんで溶けてゆく香り 干蒲団叩くや音は遅れ着き
娘の暮らし訪へば葉牡丹植ゑてをる 馬印のごとくにアロエ咲きわたり 池普請腰の深さを往き来して 池水のとことん濁り池普請 先週の雪まだ残り枕ほど
鉤の手に折れてつぎつぎ冬座敷 岬宮に位階とてあり冬椿 朝の日に覗き込まれて寒椿 裸婦像の尻の美し春を待つ まだといふ言葉たのもし春を待つ