草競馬 本井 英
小鳥らの流るるやうに枝伝ふ こちの葉は水仙そちは曼珠沙華 とんばうの浮かぶ暇も草競馬 草競馬囲む野山の錦かな 煙草の火猪のぬた場に踏み消せる
猪の犬に咬 まれるたびの声 厚物の疲れて垂るる二三弁 管物の管輪台に触るるなく 皇帝ダリアまだ尋常の丈にして 花八手蠅とも違ふ黒い奴
生くるとはつねに赤裸々一茶の忌 老いてさらに骨肉にこと一茶の忌 舟待ちて床几にあれば時雨れけり 牡蠣筏より飛び乗つて来し男 葉が落ちて丘のなぞへのあからさま
枯れ欅の空へ放てる千手かな 城垣の上に着ぶくれ立ち替はり さらに雨つのればぞくぞくつと寒し 尺ほどな鉢より生ひて枇杷咲けり 綿虫に小さき背があり風が押し