主宰近詠(2016年2月)


草競馬     本井 英

小鳥らの流るるやうに枝伝ふ

こちの葉は水仙そちは曼珠沙華

とんばうの浮かぶ暇も草競馬

草競馬囲む野山の錦かな

煙草の火猪のぬた場に踏み消せる



猪の犬に咬 まれるたびの声

厚物の疲れて垂るる二三弁

管物の管輪台に触るるなく

皇帝ダリアまだ尋常の丈にして

花八手蠅とも違ふ黒い奴



生くるとはつねに赤裸々一茶の忌

老いてさらに骨肉にこと一茶の忌

舟待ちて床几にあれば時雨れけり

牡蠣筏より飛び乗つて来し男

葉が落ちて丘のなぞへのあからさま



枯れ欅の空へ放てる千手かな

城垣の上に着ぶくれ立ち替はり

さらに雨つのればぞくぞくつと寒し

尺ほどな鉢より生ひて枇杷咲けり

綿虫に小さき背があり風が押し