課題句「門火」 矢沢六平 選 暮方の空へ煙や門火焚く 児玉和子 風一陣ほむら立ちたる門火かな 飯田美恵子 消えなんとして送火の又赤く 前田なな 門火焚きあり側溝の蓋の上 前北かおる 闇の奥にもう一軒や門火焚く 本井 英
課題句(2025年8月号)
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課題句「門火」 矢沢六平 選 暮方の空へ煙や門火焚く 児玉和子 風一陣ほむら立ちたる門火かな 飯田美恵子 消えなんとして送火の又赤く 前田なな 門火焚きあり側溝の蓋の上 前北かおる 闇の奥にもう一軒や門火焚く 本井 英
季題は「朝寝」。虚子編『新歳時記』では「春は寝心地のよいものである。朝寝の最も心地よいのも春である」とある。たしかに実感として、誰もが「朝寝」は心地のよいものとして満喫したいもの。「睡眠」の科学的なメカニズムは知らないが、何となく「半睡半覚」のような気分がたまらなく甘美だ。作者もそんな状態なのだろうか。実際に起き出して「働かなければ」と思いながらも蒲団に身を横たえ、しかも「夢」の中では「働いている」というのである。「朝寝」というものの持っている「蠱惑」的な魅力を存分に表現した一句と言えよう。(本井 英)
夢の中で起きて働く朝寝かな 浅野幸枝 庭干しの運動靴に花の塵 とめどなく水琴窟へ花の雨 白シャツを干して叩いて風光る 法名で呼びかけてみる朧かな 村田うさぎ 山火事の手前の山の桜かな 根岸美紀子 句碑に小さく「万」と一文字暮の春 児玉和子 バス通り沿ひに見返り柳かな 冨田いづみ
百合似合ふ人 本井 英 ここにまた棚田百選五月晴 亀の子の甲羅ぺらりとをりのけり 子亀可愛や五百円玉ほどな 畳まれて蕾の隙に花石榴 かいつぶり莕菜畳を割つて浮く 浮巣へと一直線に親もどる ぬかるみにこぼれしばかりえごの花 草茂りわたり第三駐車場 沿線や色づく枇杷も目に楽し 富士塚のいただきに夏服の人
小綬鶏のにはかに近し草いきれ 老鶯の小刻みの絡繰仕掛 サングラス歌舞伎役者のはしくれで 清元の出稽古に行くサングラス 花菖蒲残り少なが程へだて 山梔子の萎みカフェラテ色なせる 金蛇や浮きて沈みて葉をわたる よほど降りしや青蘆の腰くだけ おひろひの夏木立より戻らるる 虎御前とは百合似合ふ人なるべし