夢の中で起きて働く朝寝かな 浅野幸枝

 季題は「朝寝」。虚子編『新歳時記』では「春は寝心地のよいものである。朝寝の最も心地よいのも春である」とある。たしかに実感として、誰もが「朝寝」は心地のよいものとして満喫したいもの。「睡眠」の科学的なメカニズムは知らないが、何となく「半睡半覚」のような気分がたまらなく甘美だ。作者もそんな状態なのだろうか。実際に起き出して「働かなければ」と思いながらも蒲団に身を横たえ、しかも「夢」の中では「働いている」というのである。「朝寝」というものの持っている「蠱惑」的な魅力を存分に表現した一句と言えよう。(本井 英)

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