百合似合ふ人 本井 英 ここにまた棚田百選五月晴 亀の子の甲羅ぺらりとをりのけり 子亀可愛や五百円玉ほどな 畳まれて蕾の隙に花石榴 かいつぶり莕菜畳を割つて浮く 浮巣へと一直線に親もどる ぬかるみにこぼれしばかりえごの花 草茂りわたり第三駐車場 沿線や色づく枇杷も目に楽し 富士塚のいただきに夏服の人
小綬鶏のにはかに近し草いきれ 老鶯の小刻みの絡繰仕掛 サングラス歌舞伎役者のはしくれで 清元の出稽古に行くサングラス 花菖蒲残り少なが程へだて 山梔子の萎みカフェラテ色なせる 金蛇や浮きて沈みて葉をわたる よほど降りしや青蘆の腰くだけ おひろひの夏木立より戻らるる 虎御前とは百合似合ふ人なるべし