日別アーカイブ: 2013年3月31日

課題句(2013年3月号)

課題句「雛」       児玉和子選

雛の灯にかがよふ金糸銀糸かな		牧野伴枝
雛段の裾に侍りぬ犬張子
  
畳紙(タトウ)開き起こしてやりぬ紙の雛	津田祥子
頂きし人の名のある雛の箱		飯田美恵子
午後の日のふくらんでゐる雛の間	前田なな
今年また雛の謂れを聞かされし		小林一泊

籾摺機止めて昼餉のお味噌汁 阿久津稜子(2013年3月号)

季題は「籾摺機」。『ホトトギス新歳時記』の首題では「籾磨」とあるが、傍題の「籾摺臼」では「摺」の字を使用している。「籾摺」は籾の殻を剥がし取って玄米にすること。昔は手動式の臼を回したりしたが、現今では電動の機械になっている。そんな作業を朝から続けていたのが、漸く昼餉時となり、機械を一旦止めて食事を摂る時刻になった。農家の土間から埃を払いながら茶の間に上がってきた農夫。機械の音も止んで、柔らかく湯気を立てているお椀に向かったのであろう。
一句の世界は何の変哲も無い平凡な日常であるが、如何にも安心して眺められる一句の「調子」が好もしい。「お味噌汁」の措辞も気取りが無くて一句の雰囲気に叶っていよう。(本井英)

主宰近詠(2013年3月号)


寒くごつつく        本井英

炭斗を提げ五六歩は傘をさし

塩引にしくしくと食ひ込む刃

風音ははるか上空日向ぼこ

磴落葉ここに寛永三馬術

寒釣の綸のきらきらきらきらす




萬年橋寒くごつつく架かるかな

都鳥ものねだる癖誰がつけし

忘年会幹事様子の良い男

川涸れて堰堤はただそそり立つ

涸川へ駆け下り駆け上るかな



青石をゆゆしく渡し池涸るる

ボーナスの出る日の講義朗々と

栴檀のすつからかんに枯れはてし

切干の笊の角度が日の角度

紅もむべなり海棠の帰花



枯木山背負ひ鎌倉権五郎

佇めば甘えるやうに笹鳴ける

枯れ枯れてもういけません男郎花

積み上ぐるキャットフードも年用意

すれ違ふ電車がらがら年の夜