課題句「夕立」 根岸美紀子 選 夕立を貫く鷺の鼓翼かな 田中 香 夕立あと雉鳩の七拍子また 夕立にそろととりこむ将棋盤 津田祥子 夕立や黙々と糠かきまはし 梅岡礼子 山の湯を夕立やどりに借り申し 本井 英 夕立を猫と見てをる窓辺かな 児玉和子
課題句(2019年7月号)
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課題句「夕立」 根岸美紀子 選 夕立を貫く鷺の鼓翼かな 田中 香 夕立あと雉鳩の七拍子また 夕立にそろととりこむ将棋盤 津田祥子 夕立や黙々と糠かきまはし 梅岡礼子 山の湯を夕立やどりに借り申し 本井 英 夕立を猫と見てをる窓辺かな 児玉和子
季題は「日盛」。「機体」は航空機のそれ。したがって真夏の空港での所見ということになる。作者の心に浮かんだ言葉は「はちきれさう」という一語のみである。実際、音に出して「は・ち・き・れ・さ・う」と言ったかどうかは判らないが、ともかく作者の眼前の景色、大きなガラス張りの窓の外の、コンクリートと「日盛」の日差しと、旅客機の機体の形状に対して、作者は「はちきれさう」という一単語で応じたのであった。
旅客機の機体について詳しいわけではないが、例えば昔懐かしい「Y11」の機体を思い出してみても、あるいは一世を風靡した「ジャンボ機」を思い出してみても「はちきれさう」という形状とは違っていた。ところが近年目にする旅客機の幾つかの、特に前方部分には「はちきれさう」という、「パンパンに膨らんだ」印象がある。それだけのことであるが、こうした小さな発見を通じて「空港の日盛」が伝われば、これで「俳人」としての役目は全うしたことになるのである。 (本井 英)
日盛のはちきれさうな機体かな 前北かおる たなごころ絹糸草に触れにけり 花火見て戻るビジネスホテルかな この島に虹の立つまでとどまらむか 賓(マレビト)の現れ野遊に出掛けたる 杉原祐之 仙人掌の雨の中にぞ置かれたる 藤野 澪 春寒や無人の路地に煙草の香 梅岡礼子 磴一歩下れば寒き川の風 山本道子
磯遊 本井英
一病を養つてをる朝寝かな 朝桜くまなく照らし出されたり 春昼や木魚の音のゆるみ止み 猫駆ける音のをちこち花の館 渚まではみ出して蝶舞へるかな
磯遊パンツは疾うに濡れほとび 尼さまも足袋を脱がれて磯遊 英霊の叔父さんのこと磯遊 母さんの匂ひのタオル磯遊 復活祭の御堂やいまも畳敷き
庭の春にはかに山路めくところ つつがの身ながら今日あり葱坊主 はるかなる海を見届け遅桜 デニム屋に木香薔薇の咲きさかり 熊蜂の浮かびをりけり弾けけり六義園
羅生門かづらしやべりづめの女 青大将をるやいつものいぼたの木 貝母の実とはかくかくや触れてもみ 水芭蕉の倒れし白を水跨ぐ 海月大人よろづてきぱきとは行かぬ
課題句「葭切」 馬場紘二 選 葭切の葦ひん曲げて空を向く 田中 香 大口を開けて啼きをり行々子 葭切の筑紫二郎は吾が川と 葭切を聞く半袖のポロシャツで 塩川孝治 行々子そんなに念を押さずとも 前田なな 葭切や鋏のやうに嘴ひらく 田中金太郎 大揺れの葭にちらちら葭雀 本井 英