投稿者「管理人」のアーカイブ

主宰近詠(2022年1月号)

遺愛の庭 本井 英

青々とつやつやと新松子なる

新松子にそだつ緑の雨雫



川端龍子旧邸 四句

大森はむかし郊外椎の秋 その画家の遺愛の庭の木守柿 木瓜の実のいびつも画家の愛しけん 上品に浅きなぐりや縁の秋





この庭の「木曽路」が好きや秋はさらに

姫沙羅の木肌あかるし小鳥らに

山雀はすこし濁声可愛らし

境内にキッチンカーや柿の寺



咲きつぎて茶の花は褒められもせず

野良道に小さき乗 越(ノッコシ)草の花<

谷戸池へ風呼んでいる荻の指

長旅の疲れをいやす浮寝とも

お行儀に大根の株まだ幼な



峠閉づる大きなゲート草紅葉

草紅葉峠の茶屋は疾うに閉ぢ

実千両色づく前の変な色

をみならに触れられてをり蘇鉄の実

女郎蜘蛛君臨したり雨の空

句会・吟行会案内(2022年1月)

地区
日時/集合
吟行地・兼題
句会場
幹事/連絡先
池袋
1月5日(水)
寒肥、綱曳
東京芸術劇場
03-5391-2111

(19:15締切 7句)
前北かおる

湘南タイドプール

1月6日(木)

夫婦池公園、鎌倉山ほか

鎌倉教養センター(笛田)
0467-32-1221

(13:30締切 7句)
藤田千秋

橋本由美子

土 曜
1月8日(土)

12:30

JR山手線・京浜東北線 
日暮里駅北改札口前
谷中七福神めぐり
台東区
上野区民館1階
101集会室
03-5815-8612

(15:00締切 7句)

宮川幸雄

名古屋
1月9日(日)

10:30 神宮拝殿辺り
熱田神宮
未定

(13:30締切10句)
大山みち子

渋 谷
1月13日(木)

松の内、冬薔薇

リフレッシュ氷川2階
03-5466-7700

(14:00締切 7句)
櫻井耕一

前田なな

湘 南
1月16日(日)
鶴岡八幡宮界隈
鎌倉生涯学習センター
0467-25-2030

(14:00締切 7句)
園部 光代

藤田 千秋

タイドプール

(初心者対象)
1月20日(木)

13:00

上野文化会館前
上野
千代田区矢板ビル
03-3255-0471

(15:30締切 5句)
矢板けん梓

東 京
1月26日(水)
⇒中止といたします。
目黒・自然教育園
三州倶楽部2階ホール
品川区上大崎1-20-27
03-3447-6776

(13:30締切 7句)
山本正紀

河村雅子

福岡



藤永貴之

※会費はいずれも1,500円(学生500円)です。
※どの句会もどなたでも自由に参加できます。
※不在投句をご希望の場合は、幹事とご相談ください。(要会費)

課題句(2021年12月号)

課題句「屏風」     山内裕子 選


薬包紙枕屏風の暗がりに		梅岡礼子
ジグザグに屏風の源氏物語

銀泥の花沈みこむ古屏風		田中温子
虚子の句の枕屏風に逝かれけり		岩本桂子
ひとり居の屏風近くに寄せてみし		冨田いづみ
灯火のゆらと影差す屏風かな		磯田和子

引揚げ船待ちて野営の夜の長き  牧原 秋

 季題は「夜長」、秋である。「花鳥諷詠」は、どこまでも「季題」が中心。事柄が初めにあって、後から「季題」を便宜的に斡旋するものではない。従って多くの作句の現場は、まず「季題」と出会って、その出合いから、事柄や景が立ち上がってくる。吟行という場面設定が比較的「花鳥諷詠」に叶っている所以である。しかし「季題」によって遠い記憶が呼び覚まされ、その遠い過去の「場面」を写生することも「花鳥諷詠」の範疇を出るものではない。「兼題」を案ずるのもこれと同様である。

 さて掲出句は「引揚げ船」というまことに特殊な言葉によって、読者は一気に七十年以上も前の記憶の世界に引っ張り込まれる。「引揚げ船」は大東亜戦争の敗戦に伴って、海外に於いて居場所を失ってしまった軍人・軍属、および一般市民を日本本土に帰還させるための船。六百万人といわれた在外同胞が祖国の地を踏むには十数年の歳月を要した。一句はその「引揚げ船」を待つ、港近くの「野営地」が舞台。筆者にはなかなか想像の及ばない部分も多いが、ともかく、一日千秋の思いで「船」を待つ身に「秋」が深まり、冬も近づいている「夜長」の夜々。そんな切ない景が焦点の定まらぬままに筆者の脳裏に浮かぶ。「夜長」という季題の持っている「淋しさ」の一面が伝わってくる。(本井 英)

主宰近詠(2021年12月号)

月への道      本井 英

根治してこれよりの日々山の秋

退屈を愉しみに来し出湯の秋

出湯の秋建てこむ中の薬師堂

絵馬に描く「め」の鏡文字堂の秋

鯉岩魚仕入れて活かし出湯の秋



下山バス出ればにはかに秋冷ゆる

蜘蛛の囲の勲章然と蟬の翅

柳蘭の果ての白髪も潰えんと

混群といふことばあり小鳥来る

風欲しとアサギマダラは高く高く



身の丈を隠しかねをり穴惑

秋草に躙るともなき蛇の胴

蕎麦畑の白の違ひの五六枚

風澄めば花蕎麦の白さらに澄み

ここにまた神饌の山葵田かしこみて



山葵田の流れの果てに鱒池を

雑魚ほつほつ羽田の老に秋楽し

航路とて少し深みや鯊さぐる

木犀の香に濃淡や風通ふ

 

悼 深見けん二氏

後ろ影月への道を辿らるる