課題句「月」 園部光代選 かがやきて月の家路でありしかな 田島照子 月の窓あまりに小さし倚りて立つ 月の宿来るべき人に灯ともして 月の道うごかずありぬ余呉の湖 田中 香 館へとポプラ並木の月明り 三上朋子 月見ると約束をして別れけり 冨田いづみ 湾ふかく月光の充ちわたりたり 本井 英
課題句(2015年9月号)
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課題句「月」 園部光代選 かがやきて月の家路でありしかな 田島照子 月の窓あまりに小さし倚りて立つ 月の宿来るべき人に灯ともして 月の道うごかずありぬ余呉の湖 田中 香 館へとポプラ並木の月明り 三上朋子 月見ると約束をして別れけり 冨田いづみ 湾ふかく月光の充ちわたりたり 本井 英
季題は「星飛ぶ」、「流星」の傍題である。初秋の夜空を見上げていたら、星が飛んだ。その流星は流れ始めたと思ったらすぐに消えた。はなはだ短い航跡であった、というのである。一句の手柄は、勿論「線分」。我々が日常生活では殆ど使わない言葉でありながら、殆ど全ての人に学生時代に数学の時間の黒板に引かれた、直線の呼称として「線分」が全く、紛れることなく蘇ってくる。 きちっと定義された、点と点を結ぶ直線。それと全く同じような「短い直線」として、星が夜空の黒板を短く走ったのである。一句全体の措辞も「線分」といった「目立たしい言葉」を抱きとめて無理なく働いている。(本井 英)
線分を短く星の飛びにけり 藤永貴之 高原の空の真澄や濃龍胆 声のしてしばらくありて懸巣飛ぶ 雨水の残りて浅し虚栗 里山のふくらむほどに囀れり 前田なな 実梅落つ流れちよろちよろU字溝 木山杣人 杖を持つ右手の甲の日焼かな 飯島ミチ 水やうかん色の隠沼夏来る 天明さえ
掌ほどを 本井英
万緑は丘のかたちを野のかたちを 水がゆきわたりすなはち代田なす 麦のころほひかぶら川からす川 浅間嶺におつかぶさつて雲の峰 つばくろの行方を読めばはぐらかす
桑の実の色のさまざま黒もちよと 突き上ぐる大噴水や北の街 噴水の最高点に幾かけら 籘椅子に外湯めぐりの子等を待ち 籘椅子にはだけて薄き老の胸
籘椅子に叱られをれば庭を猫 軍港に敷きのべにけり青葉潮 青葉潮艦首に菊の御紋無く 黒出目金とは仲良しにまだなれぬ 腕章を巻き蚊遣香腰に提げ
庭を出て野に遊ぶ猫梅雨晴間 木下闇をしばらく潜り村の川 花合歓の紅の刷毛先ぽちつと黄 ほととぎす峰高きより宣り出だし まひまひの掌ほどを舞ひ止まず
課題句「木槿」 近藤作子 選 広々と庭に干し物花木槿 園部光代 一日の限りを白く木槿咲く 朝の日のはやも烈日木槿咲く 藤永貴之 白木槿切りて茶室のととのひし 田島照子 傾ぎつつ花数あまた花木槿 児玉和子 人づてに逝かれしことを白木槿 前田なな