一
昔とも 本井英 避暑荘のウッドデッキに置くランプ 小庵と母屋を萩の隔てたり 秋の蝶巴なす三つ巴なす 蟬時雨メロディーライン無かりける 雨音のをさまりくれば草ひばり
いんげんの花の真白はけさ咲きし 女郎花の黄をつらぬける雨の針 中干の終はらぬうちの雨の日々 千草刈りひらきソーラーパネルとよ 鶏頭にこつてり紅きスカラップ
羽黒草ここの小径をことし又 この窪も鱒池たりき千草生ひ 鱒池のすれつからしの鱒の夏 ぽつかりとある瀧空を夏燕 瀧音の追ひすがりくる磴ほそし
法師蟬楽しき日々は過ぎやすく 秋風を聴く西郷の犬の耳 紅蓮の五日目ほどと見ゆるかな 黄花なほしがみつきありお数珠玉「夏潮」十周年一日とも一昔とも蓮に立ち
主宰近詠(2017年11月号)
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