声のする 本井 英
震災碑戦災碑木斛の花 蝸牛なりには右顧も左眄もす 五月雨に延べて黒々磯畳 とりやまの今二処青葉潮 とりやまの移りて遠し青葉潮
梅雨寒の二の腕を掌でつつみをり 蜘蛛が殺るときは必ず羽交締め 遠雷や中華鍋より炎立ち 夏雲や礼もて始むドレサージュ 夏山にへばり鎌倉権五郎
神紋は並び矢羽根ぞ風薫る 花榊ことに蕾のよろしさに 谷戸を抜け出て夏潮に真向かひぬ 自転車を溺れしめ草茂るかな 育ちゆく入道雲に肩背中
熊蜂の止まれば擬宝珠ゆあーんとす くちなはの抱擁のするする解くる 木耳やここに畑跡屋敷跡 山峡の月の形の植田かな 夏萩の別荘今日は声のする