主宰近詠(2014年3月号)


うふつと  本井 英

枯れつくし沈みもやらず莕菜たり

石組みは瀧と仰がれ石蕗の花

校門に校長先生冬の朝

寒禽の声からみけりちぎれけり

山影の貼りついてゐる冬田かな



久闊やマスクの下に笑まひ合ひ

賑はひの裏手に菩提子の一寺

枯木縛す豆電球を憎みけり

一陣や鳰の水輪を覆ひ消し

午後からの縮緬波にかひつぶり



へら釣りも疾うに帰りて鳰の水

紫をきはみとしたり草紅葉

著ぶくれのおへそがのぞき鉄棒に

白鳥を頸がひつぱる飛翔かな

着水にむけて白鳥翼張る



湯豆腐のお湯がうふつと笑まふかな

冬草のせばめてをれど扇川

おにぎりが喉過ぎてゆく冬景色

湯の柚子が鎖骨あたりをうろうろす

湯の柚子をつぶさぬほどに力籠め

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