十六夜や明日まで舟の来ぬ島に 梅岡礼子(2014年2月号)

 季題は「十六夜」。陰暦八月十六日の月は、前日の中秋の名月より四十分ばかり遅れて東の空に上がる。その「やや遅れて現れるところ」を「ぐずぐずする」の意味から「いざよう」と呼んだのがその名の起こり。

 作者はどこかの島に旅をされたのであろう。しかしその島は、陸地からそれほど離れてはいない。なぜなら「明日まで舟が来ぬ」が意識に上るということは、陸地からさして離れた場所ではないからだ。陸から遠い離島なら、「明日まで舟の来ぬ」のは当たり前。時期と場所によっては、二日も三日も「舟の来ぬ」ことだってある。

 つまり対岸も見えそうな、しかし「島」には違いない島に泊まることになって、最終便のフェリーが出航した直後の淡い旅愁を楽しんでいるのだ。昨夜の名月にも負けない煌々たる月光を浴びながら、島のやや高みにある宿から海面を見渡しているのであろう。  (本井 英)

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