かく降れば 本井 英
小綬鶏のけたたましきも百千鳥 浦島草綸を大きくふりかざし 巣立ち燕ぞぱつちんと轢かれしは へろへろと蝌蚪の伝令潜りゆく ボートレース直前ボート後じさり
コックスを投げ込みボートレース了 庭遅日関守石のなんと小さく 店奥のテレビは競馬藤の昼 暗渠口出ては入りてはつばくらめ 搾りたくなるほど雨の八重桜
小流れを二手に岐ける杉菜島 翔るものつばくろばかりかく降れば 開かりて咲きてその名もさはふたぎ 惜春や一駅だけの大師線 ヤキソバに口を汚して春惜しむ
芍薬の蕾こつんと色いまだ 昼すぎてよく泳ぐなり五月鯉 きりこりと村を明るう遠蛙 足跡は長靴葛は玉を巻き 十五六ならび養蜂箱多忙