芭蕉林抜けて水辺の曼珠沙華 櫻井茂之(2013年2月号)

季題は「曼珠沙華」。「芭蕉林」も「芭蕉」の傍題として、秋の季題になりうる語ではあるが、「曼珠沙華」の方が季題として強い(この場合は、曼珠沙華の方が期間限定性が高いという理由で)ので、季題としては機能しない。
「芭蕉林」は芭蕉が林のように何本も生い茂っている場所。熊本、江津湖畔のそれが有名だが、一句を鑑賞するには、どこでも良い。芭蕉の林の中に一本の小道が通っていて、そこを抜けたら池か川があった。その畔に、その時期らしく「曼珠沙華」が群れをなして咲いていたというのである。芭蕉の葉の広々としたゆるやかさと曼珠沙華のきりっとした紅。それを映すこともあろう、清流が一幅の「絵」を我々に見せてくれた。(本井英)

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