主宰近詠(2013年1月号)


華奢な鳥居          本井英

山雀は華奢な鳥居を潜りもす

掌の餌を咥へ山雀低く去る

指を折りながら居待月(イマチ)と答へらる

西空にまだ浮いてゐる居待月

秋天下老ゆ悔ゆ報ゆなほ生くる




風の道日の道通す松手入

得心は結局いかず松手入

海面 のふくらみ寄する根釣かな

岸釣の釣り上げたるはネショーベン

「ヤマザキパンアリマス」島は秋の風




替へ玉も喰へて健康秋日和

菊作副理事長を拝命すと

雲梯に大漁旗や運動会

女装したがる年頃の運動会

眼白来て去りぬほかにも来て去れる




水澄むや小鷺の足の黄を沈め

千年の田の千年の稻雀

マンションの顔もちらほら在祭

お十夜の過ぎし日溜り猫あちこち

水底の泥も明るき秋日和