華奢な鳥居 本井英
山雀は華奢な鳥居を潜りもす
掌の餌を咥へ山雀低く去る
指を折りながら
居待月 と答へらる
西空にまだ浮いてゐる居待月
秋天下老ゆ悔ゆ報ゆなほ生くる
風の道日の道通す松手入
得心は結局いかず松手入
海面
のふくらみ寄する根釣かな
岸釣の釣り上げたるはネショーベン
「ヤマザキパンアリマス」島は秋の風
替へ玉も喰へて健康秋日和
菊作副理事長を拝命すと
雲梯に大漁旗や運動会
女装したがる年頃の運動会
眼白来て去りぬほかにも来て去れる
水澄むや小鷺の足の黄を沈め
千年の田の千年の稻雀
マンションの顔もちらほら在祭
お十夜の過ぎし日溜り猫あちこち
水底の泥も明るき秋日和