雨の重さの 本井英
からたちの咲いて女子寮男子寮
門灯に辞すや枳殻香るなか
石鹸玉無風といへど流れけり
潮干帰りの夕照の高架駅
閘門に松の花粉の黄一線
タクシーの仮眠してをる花の道
花筏光琳水をさかのぼり
雨吸うて雨の重さの八重桜
木苺の花やアイロンかけたくなる
代掻くや今年も同じ峰映し
白河以北一山百文と聞けば
百文の山々笑ふにはいまだ
斑雪嶺は飯豊と聞けばあくがるる
坂下 とは崖 の転とぞ風光る(
ここにまた仮設住宅花の冷
覗き込む雛の鏡に映らんと
犬筥の金のてらりと春灯下
尺蠖は尺蠖こげん小さくとも
大桜蘂もあらかたふりはらひ
掲げつつ青木の花ぞ貧しかる
橋あれば橋に佇み春惜しむ