獺祭忌 本井 英
上方へいまは日帰り西鶴忌
西鶴忌小溝にかかる橋にも名
勤番が覚えし悪所西鶴忌
花オクラ下着のやうに吹かれたる
抜け道へ下る子規忌の炭団坂
一つ灯に一人起きゐて獺祭忌
討死も覚悟の一誌獺祭忌
爽やかや五百円玉ぱちと置き
眉唾の咄つぎつぎ根釣人
はじまつてをれどだらだら祭かな
ざつくりと欠けて懸かりて寝待月
畑それてなぞへにかかり韮の花
芋水車かけてしばらくよく濁る
言問へばはぐらかすなり芋水車
露草の青が葎を上品に
北佐久の南なだりの豊の秋
紫菀咲いてぶつかりさうや深廂
褒め仰ぎをれば新松子も見ゆる
怒るまで時間のかかり鰯雲
烏瓜灯る色とはこれよりぞ