手術日の明日に決り髪洗ふ 野梨壺 (泰三)

 実りの秋を堪能し、体重の増加に歯止めがかからない泰三です。皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

 夏潮11月号雑詠より。季題は「髪洗ふ」で夏。角川合本歳時記には、「髪を洗ったあとの心地よさは夏は格別である」と解説される。例句として「髪洗ひたる日の妻のよそよそし 素十」の句が上げられている。素十の句を読んで、まず「え!?髪って毎日洗わないの」というものが第一印象。いったい、虚子や素十の時代はどれぐらいの頻度で髪を洗っていたのだろうか。

 さてこの句。手術の日が明日に決まった。いつかやってくることは分かっていたが、いよいよ明日である。もう覚悟を決めて挑むしかない。身も心もさっぱりして大仕事に挑む。「髪洗ふ」という行為に、静かな、そして強い覚悟がこめらている。いざという時の女性の静的な強さに満ちあふれている句だと思う。

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